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意外と大丈夫異世界生活  作者: 潮路留雄
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用意が良い奴の先を行くって素敵やん

 「それじゃあ、気を取り直して今後の事を話し合いたいと思うのですが。副長と合流するためにレイルウェイで移動したいと」


「それには及ばない」


 バジョレット君の言葉を遮って部屋に入って来たのはダーミット副長とコティヤールさんだった。


「副長!レアちゃん!」


 コゼランちゃんが声を上げる。


「何とか間に合ったな、みんな本当に良く頑張ってくれた。そしてモンコックさんとバッツメさん、そしてディアナさん、よくぞご無事でいてくれた。改めてクルース君、クランケル君、アルスさん、ありがとう」


 ダーミット副長が言う。


「いえいえ、こちらこそですよ。それで副長さん、無事に合流出来た所で次はどうしますか?こちらから打って出ますか?」


 アルスちゃんがにこやかに言う。こちらから打って出る?アルスちゃんがそう言うって事は副長さんは相手のアジトの見当がついたと睨んでるって事だよな。


「さすがはアルスさんですね、そうしようと考えています」


「副長!本当ですか!」


 バジョレット君が前のめりで言う。熱い男である。


「いつまでも後手にまわってばかりはいられないのでね。クーデターの後始末は閣下と局長にお願いしたので、こちらは我々の仕事となります。きっちり仕上げますよ」


「よーし!レアちゃんもいるって事は俺の魔導武装も使えるって訳だな?よーし、今度は前みてーには行かねーぞ?」


 コゼランちゃんが首をゆっくり傾けて言う。どーもコゼランちゃんってこの辺りの仕草がヤンキーっぽいのよねー。


「気合が入っている所を悪いが、コゼラン、ミューメは彼らの保護をお願いしたい」


「へ?いや副長!そりゃないっすよー」


「差し出がましいようですが副長、彼らは魔導飛行船に乗せれば良いのではないでしょうか?」


 拗ねるコゼランちゃん、そして冷静なミューメさん。


「勿論、彼らは乗船してもらう。その上で君達には護衛をお願いしたいのだ」


 副長さんは真剣な表情を崩さずに言う。


「そんなっすか?今回の相手は?」


「ああ。本物のダークバエルならば、どれだけの資金力があるか知れたものではない。対空兵器のひとつやふたつ持ち込まれていても不思議ではない」


「対空兵器っすか?帝国内で?」


「それが、場所が微妙なのだ。海上なのだよ」


「海の上ですか?もしかして魔導ビーコンをやたらとばらまいてたのと関係が?」


 思わず俺は質問する。


「可能性はある。今回、敵さんは多角的に攻めてきている。まったく関係なさそうに見えた事が根っこで繋がっていた事も少なくない。ビーコンの件も幾つか理由があり、ダークバエルの件もその理由のひとつなのだろう」


「ちょ、ちょっと待ってくれよ。そのダークバエルとかって奴は偽金の件を爺さんが見抜いて万象会に話を持って行った事で出向いたきたんじゃないのかよ?バレる前から待機してたってのかい?」


 ディアナが副長さんに言う。なかなか鋭いじゃねーかディアナよ。その様子ならどこに行っても通用するよ。


「ふふ、いい所に気が付きましたね、将来有望です。うちに来ますか?」


「あ!副長さん!そりゃ待ってよ!ディアナはカイントで働いて貰おうと思って先に声かけてんだから」


 俺は副長さんに待ったをかける。


「いやいやクルースさん、誰にも人間は縛れませんよ?特に有能な人材は何処でも喉から手が出るほど欲しいものです。どうです?ディアナさん?カイントは幾ら出すと?うちはその倍は出しますよ?」


 副長さんは尚も押す。


「待ってくれって!別に私はカイントで働くなんて言ってねーし、情報局なんて御大層な組織で働く気もないから!」


「すぐに働いてくれとは言ってませんよ?勿論、養成所がありますのでそちらで術式技術や法施行、諜報分析などの研修をして頂きます。懇切丁寧に専門の教官が教えてくれますので心配はご無用です」


「いやいやいやいや、勘弁してよ。それに働くんなら先に声をかけてくれた方に義理を通したいし」


「そうですか。本当に残念です」


「いや、副長!ダークバエルの動向について続けて下さいって!」


 コゼランちゃんがつっこむ。


「コホン、失礼した。今回、彼らはレクーリュ硬貨の流出と同時に動いている形跡があります。どうやら、彼らのやり口のようですね。偽金を市場に流すと同時に感づいたものを始末するための準備も済ませる。道理で表に出ないはずですよ。今回は発見者がすぐに動き出さなかった事と、動いたと同時に手練れが傍にいたという幸運がふたつ重なった事でこうしてレクーリュの尻尾を掴むことが出来たわけですが、どうやら奴らはまだまだ慌てていないようですね」


「どういう事ですか?」


 バジョレット君が問う。


「クーデター絡みで拘束した者からの情報ですが、奴らにとって、ここまでのリークはまだ挽回できる範囲内らしい、という事です。例え証言者や目撃者が増え、それに伴った機関に身を寄せても丸ごと消せば問題がないと考えている組織だそうでしてね。これに対抗するには奴らの上を行かねばなりません」


「それが、拠点潰しと」


 バジョレット君が言う。


「そう言う事です。対空兵器の警戒に飛行術式が得意なふたりの力が必要な理由がわかって貰えたかな?」


「わかりましたよ副長。そんな相手ならどちらにしてもう一戦交える事にはなりそうですな」


 コゼランちゃんが納得したように笑う。


「そう言う事でしたらわたしもそちらで待機しましょう」


「おお!アルスさんにそう言って頂けると盤石ですよ」


 アルスちゃんの言葉に副長さんが喜ぶ。


「では早速ですが出発しましょうか、準備はよろしいですかな?」


 俺たちは副長さんの問に一も二もなく頷くのだった。


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