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意外と大丈夫異世界生活  作者: 潮路留雄
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地道にコツコツって素敵やん

  「おーい!聞こえるかシタルカネ!」


 俺は元気いっぱいの巨大足と死にかけ巨大腕の攻撃を避け、カウンターでインチキメテオと身体強化パンチを食らわせながら叫ぶ。


「聞こえてたら踏ん張れよ!多分額の石を破壊すりゃ元に戻れるからよう!すぐに助けてやるから!絶望に飲まれんなよ!」


 俺は大きな声で叫ぶ。


「一先ずこいつのとどめを刺してやるか!」


 俺は鈍い動きの巨大腕にフォカースを拳に纏わせたパンチを食らわす。鈍い音がして俺の拳は手首まで食い込む。


「よーし!いける!ニャロロロロロロロロロロロロロロロロロウッーーー!!!」


 俺は色々と配慮した叫びを上げながら巨大腕に連打を食らわせる。


 穴だらけになった巨大腕はゆっくり倒れ俺を踏みつぶそうとする巨大足の餌食になる。


「ひゃー!ダイナミック!!」


 巨大足に踏みつぶされペシャンコになり動きが止まる巨大腕を見て思わず口走ってしまう。


「みりおらるろろろろろろろくりゅるるるるるるるる」


 シタルカネが天を仰ぎ唸り声を上げる。巨大足はそれにハッパをかけられたかのように動きを激しくする。辺りに土煙がもうもうと湧き上がる。俺は土煙に紛れてシタルカネに近付き、頭のローブをずらして頭を押さえ軽

 く電撃を食らわす。シタルカネは身体を硬直させて倒れる。俺は奴の手放した杖を地面に叩きつけてぶっ壊す。


「術式解けねーのか?」


 それでも元気良く俺に襲いかかる巨大足。


「クルース君!それは発動具です!制御や魔力供給のための道具ではありません!」


 クランケルが叫ぶ。


「え?じゃあ、振りまわしたり叫んだりしてたのは?」


「単なる気分でしょう」


「なんだよそりゃ」


 俺はガックリと肩を落とす。が落胆ばかりもしてられない。俺はシタルカネを巨大足から離れた所に置き、そこからゲイルダッシュの勢いをつけて巨大足の膝にフォカースパンチを食らわす。フォーカスは拳のみに纏わせずに中華鍋サイズに広げた状態で纏わせる。


「ドンッ!!!」


 大きな質量同士がぶつかった鈍い音がして巨大足の膝はあらぬ方向に曲がる。


「どうだ!」


 俺は確かな手ごたえを感じるが、巨大足は膝下を妙な方向に曲げたまま攻撃を止めない。こりゃ、足の形をしているからなにか生物的に見てしまうが、こりゃ昨日の夜戦った奴と同じ、無機質なものなのか。形に捕らわれちゃマズいな。

 俺は巨大腕にやった様に地道にダメージを蓄積させていく作戦で行く。インチキメテオをぶつけながらフォーカスパンチで削って行く。文字通り削って行く。巨大足の外殻をフォーカスパンチで削りに削る。そのサイズに比べれば大した量は削れないが、それでも良い。地道に積み重ねていく。

 表面はインチキメテオで打撃ダメージを与え、フォーカスパンチで削り取って行くのを繰り返す。最初は俺のフォーカスパンチで削れる量なんぞひっかき傷に等しかったが、徐々に巨大足の動きが鈍くなるにつれ俺の方でも魔力を込める時間が出来始め、与えるダメージも彫刻刀で削った程度の傷はつけられるようになっていく。

 巨大足の動きがどんどん鈍くなり、ぎこちなくなってくる。こりゃ、あと一息か!


「加勢に来ましたよ!」


 クランケルがやって来てぎこちない動きになった巨大足に蹴りを放つ。


「おう!ありがてー!そっちは大丈夫なのか?」


「こいつの動きが怪しくなったのを見て大多数が逃げに走りましたからね」


「シタルカネも捨て駒だったって訳か」


「まあ、そう言う事でしょうね」


 そういいながらクランケルが放つ蹴りの一発一発がどえらい音を立てている。こりゃ、俺がゲイルダッシュ使ってのフォーカスパンチと同じかそれ以上の破壊力がありそうだ。まったく、味方で良かったよ。

 クランケルが加わって俺はインチキメテオをストップしフォーカスパンチに専念する。クランケルの蹴りの溜めやタイミング、それにヒットさせる場所なんかを見て俺も真似て見ると近い音を出すことが出来るようになってくる。そうなると、ちょっと面白くなってくる。いい音を出そうとゲーム感覚でパンチを繰り出しているとコンスタントに出来始めたとたん巨大足にヒビが入る。


「ばっきぃぃぃぃぃん」


 大きな音を立てて粉々に崩れ落ちる巨大足。


「なんだよせっかく調子が出てきたのによう」


「ふふ、確かにいい感じになってましたねえ」


 崩れ落ちる巨大足の破片を浴びながらクランケルが俺に言う。


「ったくよう、俺のこの溢れ出るやる気をどうしてくれんだよ!そいつ起こしてまた出させろいっ!」


 俺は冗談でやさぐれた調子で言う。


「いや、起こしてももう発動具破壊してますしねえ」


「冗談だって」


「う~ん、わかりづらいですねえ」


「そうか?そんな事ないだろ?俺、普段あんな口調じゃないだろ?」


 俺は考え込むクランケルに説明する。


「おーいっ!シタルカネなんとかなるってよー!」


 メイエスが大きな声を上げてこちらに走って来る。どうやら向こうも方が付いたようだな。


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