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意外と大丈夫異世界生活  作者: 潮路留雄
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引き立て役って素敵やん

 「手紙は見せて貰った。あの子なら奥で食事をとっているよ」


「この状況で?」


 レストランの奥を指さし言うモンコックに俺は聞く。


「楽園城の民はたくましいよ」


 モンコックはしみじみと言う。


「実は色々とややこしい事がありまして」


 俺はモンコックに言いながらクランケルと一緒にレストランに入る。


「お疲れでしょう、何か飲みながら話を聞きましょう。ツマベニとヒレンもこっちに来て休みなさい。後片付けは別の者に任せるから」


 モンコックが言い、レストランの外にいたツマベニとヒレンも中に入って来る。

 奥に進むとディアナが猛烈な勢いでご飯を食べていた。


「あ!地味な顔の兄ちゃん!ご馳走になってっぞ!」


「よう泥棒少女!たらふく食えよ!」


 俺は地味な顔と言われてつい意地悪な返しをしてしまう。


「けっ!だったら、泥棒しなくても生きてける世の中にしてくれってーの!ムシャムシャガツガツ」


「ふふふ、言いますね」


 ディアナの減らず口にクランケルが思わず笑う。


「げっ!!なんだよ!そっちの兄ちゃん!!めちゃめちゃイイ男じゃねーかよ!!なに?ジミーの友達?」


「誰がジミーだ!」


 俺を見て言うディアナに言い返す。


「ぎゃははは!あれか、ジミーは引き立て役か!」


「うっせー!黙って食ってろ!ホント口の達者なやっちゃなー」


「楽園城の住人はたくましいってのはホントですね」


 クランケルが笑って言い、みんなでディアナと同じテーブルに着く。


「皆さん何飲まれますか?」


「まだこれからなにがあっかわかんないから、アルコールじゃないやつで」


「私もそれで」


 俺とクランケルが言いヒレンとツマベニも頷く。


「じゃあ、冷たい発酵茶を人数分頼む。それでは、情報共有と行きましょうか」


 モンコックが言う。

 俺は先ほど倉庫であった事をすべて話して聞かせる。


「チャルバートル計画ですか。特定の思想団体を用いた内部攪乱というのはクルース君が言っていた例のやつですね?」


「ええ、どこも同じ事を考えると言うのかそれだけ有用性が高いと言うのか。ユメロンは言ってましたよ、信仰の対象を自前で用意できる強みがあると。ドーンホーム教会も後ろ盾にいる事を臭わせてましたよ」


 モンコックの問に俺は答える。


「やはりジャーグル王国ががっちり絡んでいましたね」


「衛兵だってがっちり絡んでるよ、なんせ衛兵第六番所はまるっと仲間だって言ってたもんね」


 たらふく食ってお茶を飲むディアナが得意げに言う。番所ってのは衛兵が寝起きして番をする前世界で言う駐在所みたいなもんで、この歓楽街にも多くある。


「第六ですか。確かにあそこの連中は賄賂も効かない頭の固いやつらだとは思っていましたが、それなら納得できますよ」


 モンコックが言う。


「第六番所の地下になんかあるんだってさ。なんか相談してたよ」


「ほう?面白いですねえ。なんの相談をしていたのですか?」


 モンコックが優しい声で言う。なんか余計怖いけどな。


「えーとねえ、なんか天然ものが埋まってるとか、行く道に危険な魔物が出るとか、帝国レジストのバカが腕利き連れてくるはずがしくじったとか」


「ん?どっかで聞いた話だな」


「それは私がクルース君に聞かせた話ですね」


「あー、そうそう!それだ!」


 俺はクランケルの言葉に思い出す。


「どういう事ですか?」


 尋ねるモンコックにクランケルは説明する。


「なるほどねえ。ならばこの子を狙ったこの大騒ぎも納得できますね。知られたくない情報でしょうからねえ。しかし、ここに差し向けた戦力やおふたりと戦った戦力をもってしても突破できない魔物たちとは如何ほどなのでしょうか?」


「いや、ここに来た奴らの取柄は丈夫さだけで攻撃力はちょっと強い人並ですし、倉庫で戦った奴も対人戦では強いでしょうが魔物相手では勝手が違うと思いますよ。恐怖心や痛みが無いって言ってましたそれに、倉庫の奴はそこまで量産が効かないんじゃないかと」


「それでは、そこにいる魔物はそこまで脅威ではないと?」


「彼らの現時点での戦力では攻略が難しいのだろうと推測できるだけで、魔物の脅威度まではわかりませんよ。でも魔法が使えるのならばなんとかなると思いますよ」


「ふむクルース君は冒険者が本職でしたね」


「ええ。なんなら対人より対魔物の方がやりやすいくらいですよ。クランケルはどうなんだ?お前、対人戦は相当だけど対魔物はどうなんだ?」


「多少は覚えがありますよ。グリフォン程度ですけど」


「それ多少じゃねーってーの」


「そうですか?魔物に関してはそこまで詳しくないので」


「グリフォンはそこそこ強いよ。お前、冒険者やっても全然いけるよ」


 俺は肩をすくめて言う。


「グリフォンでそこそこ?君達ちょっとおかしいわよ?ねえヒレン」


「そうだな。グリフォン倒せれば国で雇ってもらえるぞ」


「そうなのですか?でも残念ながらもう国に雇われてるようなものでして」


 ツマベニとヒレンの言葉にクランケルが自嘲的に答える。


「こいつこれでも貴族でね」


「やっぱりねえ、そんな顔立ちしてるわ。品があるもの。君の方は雑草って感じね」


「うんうんそうそう、クランケルが薔薇なら俺は名も知れぬ草!っておーい!雑草という名の草はねーっちゅーの!!」


 俺はツマベニさんに突っ込んでおく。


「おお、今のはなんという技なんですか?コミュニケーションの裏技ですよね?」


「乗り突っ込みっていう技。裏技でもなんでもねーよ、初歩も初歩、ベタなやつね」


 クランケルの真面目な質問に俺は疲れ気味になり言う。


「ジミー面白いじゃん。顔で負けてる分、会話で稼ぐタイプね。うん、よく頑張ってる、好感持てるよ」


「こりゃどうも」


 子供に慰められちまったよ、とほほ。


「そんじゃま、その第六番所の場所を地図に印付けて貰ったら俺とクランケルで行ってきますよ」


「ヒレンとツマベニも一緒に行かそうか?」


「いや、念のためここを守って欲しいですね。万が一ですが俺たちが倉庫でやった奴らが来たら楽園城の住人だけじゃキツイと思うんで」


 俺は倉庫で戦った奴、人造魔神の事を詳しく話す。


「ふーん、それじゃあそいつの体内にある魔導体ってのを探ってそこに魔力を流してやればいいのね?」


 ツマベニが聞く。


「やれそうですか?」


「いわゆる無元素での魔力発動ってやつだろ?できるよ」


 ツマベニが言いヒレンも頷く。


「あいつらは妙な音で攻撃をしてきます。近くで爆発が起きた時のような衝撃を受け鼻血が出ましたよ。気をつけて下さい」


「あら?イケメンのお兄さんの鼻血姿見たかったわあ」


「ツマベニは少し黙っていた方が良いな。それから兄さん、クランケル君と言ったかな」


「はい」


 ヒレンに言われてツマベニはブーたれクランケルは素直に返事をする。


「ならばひとつ教えておこう。近くで爆発があった場合、口を開けておくと良い。近距離で大きな爆発があると、鼓膜が破れたり下手をすると目の玉が半分ほど飛び出る事もあるが、口を開けておけばそれを防ぐことが出来る」


「おお、そうなんですか、それは知りませんでした。ありがとうございます」


 クランケルが素直に感謝するものだからヒレンは少し照れているようだった。


「ジミーとイケメン兄ちゃん、敵の本拠地に乗り込むの?」


「敵の本拠地じゃねーし俺はジミーじゃねーけど、まあ、お前さんのおかげで敵さんの企みもわかったんでいっちょそこに行って潰して来るわ」


「大丈夫?ジミーって口は達者だけど弱そうじゃん?」


「ふふ、クルース君は強いですよ。本当に。是非、一度お手合わせ願いたい程に」


 クランケルが言う。


「お嬢ちゃん、彼は強いよ」


 ヒレンが言う。


「そうなの?ジミーがねえ?ふーん、まあ、みんなが言うなら信じてあげてもいいけど。無茶しちゃダメよジミー。あんた運が悪そうだからねえ、モテなさそうだし」


 ディアナが言う。


「モテないは余計じゃ!」


「じゃあモテるの?」


「ぐぐぐぐぐ、行くぞクランケル!」


「ちょっと待って下さい、今、地図に印をつけて貰ってますので」


 クランケルは地図を出しモンコックに印をつけて貰っていた。

 立ったままの俺はアゴを突き出し白目になってディアナを見る。いわゆる変顔って奴だ。


「ぷっ!あははははは!ジミー面白っ!やっぱ男ってのはこのくらい面白い方がいいわよね」


「まあ、つまらないよりは面白い方がいいけどねえ。でも、やっぱり金じゃない?」


「それを言っちゃあお終いよ?」


 むぐぐぐぐ、ディアナとツマベニがキツメの女子トークをしてやがる。これ以上聞いてたら、心が折れちまう!早くしてくれクランケル!


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