怪しい連中に頼りになる連中って素敵やん
「あいつらどんだけ武器持ってんだよ!」
雨あられと投げつけられるガビシに毒づくメイエス。
「こちらも飛び道具で応戦して突っ込みますか?心得はありますが」
「ちょっと待てハルハ。そうだな、よし、俺が目くらましをやる。声をかけるまで目を閉じててくれ。俺が声をかけたら突っ込むぞ」
「良し来た、頼んだぜ」
「わかりました」
「目くらましですか、面白い」
メイエス、ハルハ、クランケルがそれぞれの反応をして目を閉じる。
俺は光魔法のフラッシュを放つ。
「うわっ!」
「目が」
「今だ!!行くぞ!!」
俺は声をかけ、混乱する男どもに突っ込む。目を押さえる男に飛び蹴りをしふっとばす。男の足元には大きな布袋があり、その袋の中身はどうもガビシのようだった。
「そんなしこたま袋に入れてたら暗器になんねーだろ」
「まったくですね」
俺のひとりごとに応えながら、男達のアゴに鋭い蹴りを入れ、あっという間にふたりの男を沈めるクランケル。
「こんのやろー!ふざけた真似しやがって!!」
「メイエス君!落ち着いて!」
男の足を掴んで振り回し他の男達をなぎ倒すメイエスをたしなめながら、目くらましから回復し襲いかかって来る男達の攻撃を避けながら腕をつかみ投げるハルハ。
接近戦に持ち込めば魔神信仰者の男達は俺たちの敵ではなかった。目くらましから回復した男達は、ガビシを使う余裕が無い事にすぐに気付き、腰に挟んでいた大きなナイフを手に俺たちに襲いかかるが、メイエスにしてもハルハにしても、そのぐらいでビビる事はなく、ハルハなどはいつの間に手にしていたのかガビシを投げつけるなどして危なげなく男達を無力化していった。
「あそこです!なんか怪しい人たちが!」
「協力に感謝する!」
「神妙にしろ!!」
「おとなしくお縄につけい!」
ほとんどの男たちを無力化した頃、そんな声を上げながら集団がやって来る。
「さあ!大人しく、って君達は」
俺たちを見て目を丸くしたのはカティス防衛団第一分団長のニッカ・レブンさんだった。
「へへへ、どうもです。ご苦労様です」
頭を掻きながら言うメイエス。
「目線に気を付けろよメイエス」
「か、勘弁してよクルっさん!見てねーって」
「おかしな連中が誰かを囲んで攻撃していると聞いてやって来たのだが、君達が囲まれて攻撃を受けていたのだね?」
「まあ、そうなります」
レブンさんの問に答えるメイエス。
「ぶるおらぁぁぁっぁぁぁ!!ぎゅるるるるるぅぅぅぅぅぅみゅるあぁぁぁぁぁぁl!!!」
「うわぁ!なんだ!」
「どうなってんだ!」
「おかしな真似は止めろ!!!」
妙な叫び声がして、倒れている男達を縛り上げていた防衛団の人たちから声が上がる。
「どうした!!」
レブンさんが声がする方に駆けるので思わず俺たちもついて行く。
「こ、これは!」
レブンさんが声をあげる。
縛られた男のひとりが奇妙な声を上げ身体を揺らし、耳や目や口から白く細い触手のような物が飛び出てうねっている。
「な、なんだよこりゃあ」
「これは、おそらく何かの寄生虫ですね。クルース君、君は陰の気と陽の気を使えますか?」
クランケルが俺に問う。
「陰と陽の気?もしかして、あれか?人の体内から瘴気を払う時に使うあれか?」
俺は以前にマウレスト侯爵邸でキーケちゃんとやったやつを思い出す。
「ええ、それです。それをやります」
「おう!」
俺はクランケルに続いて痙攣する男の元に駆けるのだった。




