ドキドキ船旅って素敵やん
魔動機船内ってのは、娯楽施設やら食堂やら商店やらが沢山あって本当にちょっとした町なんだけど、今回は片道一日なんでまあ、ちょうどいいっちゃちょうどいいかね。
俺たちは軽く船内をぶらぶらしていたが、シエンちゃんとキャリアンは食堂のはしごへ、キーケちゃんはカジノへ行ってしまった。
「さてと、どうしたものかね?」
「うふふ、トモトモとふたりきりなんて久しぶりですね」
アルスちゃんがドキッとすることを言い俺にくっついてきた。
外見子供で振る舞いが上品なおば様だから、油断してしまうけど、たまにどういう訳か妖艶な雰囲気を醸し出すことがあるからおっかないんだよなあアルスちゃんは。
「あ、ああ、そうだね。久しぶりやねえ、ねえ。ど、どこ行こうかねえ」
わかっちゃいても声が上ずってしまう。
「トモトモと一緒ならどこでもいいですよ」
密着したまま笑顔で言うアルスちゃん。
心拍数が上がりドギマギしてしまう。
マジで心臓に悪いよ。
「お、おう、ひとまず船内を歩こうか、ね。」
やっとの思いで言葉を絞り出す俺。
くぅー、初デートの中学生かよ!
中身は四十路後半のオッサンなのにー!
「では、行きましょう!」
跳ねるような声でそう言い俺の手を引くアルスちゃん。
俺たちは手を取り合って船内を散策した。
デッキにあるプールサイドでは楽団が曲を奏でていたので、飲み物を買ってイスに座り耳を傾けた。
アルスちゃんは楽団の使用している楽器を見て、学園にも揃えたいと目を輝かせていた。
それから、高級そうなお店を冷かして回ったり、図書館でまったり本を読んだり、ランチをしながら図書館で読んだ本について語り合ったりと、お昼ごろまではかなりいい感じで過ごしたのだったが、そんな甘い時間は長くは続かない。
ゆったりランチをしていた高級そうなレストランに、何やら騒がしい人たちが来たぞと思ったら、案の定、シエンちゃんとキャリアンで、俺たちの姿を確認するとワイワイとテーブルにやって来て、恐ろしい量の料理を注文しだす。
更には、上機嫌のキーケちゃんもやってきて、大勝ちしたからここは奢ろうと言い、これまたシエンちゃんとキャリアンが大喜びして、益々騒がしくなる。
「うふふ、すっかり賑やかになりましたね」
「そうだね、まあ、これはこれでいいか」
楽しそうなみんなの顔を見て、俺は思った事を言った。
「そうですね。でも、たまには今日みたいな時間も作りたいですね、トモトモ。あ、わたしも追加注文お願いします」
ニコニコしながら言うアルスちゃん。
どーも、今日はドキマギさせられっぱなしだよ。
そんなこんなで船旅一日目は過ぎて行くのだった。




