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意外と大丈夫異世界生活  作者: 潮路留雄
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きな臭い話って素敵やん

 「どうしました?何の騒ぎです?。」


 衛兵詰め所に戻ると衛兵たちが何か言い争っていた。


「いや、すいません。それが、ガーナンドへ続く街道が通行規制中で囚人護送隊は別の道を使えと言うものですから。こちらは国安対の仕事だと言っているのですが。」


 護送隊の衛兵さんが困った様にアッシュバーンさんに言う。


「わかりました、私が話を聞きます。ありがとうございました。」


 アッシュバーンさんはそう言って護送隊の衛兵さんを下がらせる。


「失礼しました。私は王国安全対策委員会のサンドラ・アッシュバーンです。事情をお聞かせ願えますか?。」


「ハッ!私はトゥマスク衛兵隊副長カナメトと申します。」


 バチッと敬礼をして衛兵さん、カナメトさんは答えた。


「プテターン伯のご親戚にあたりますマリエネ・エッティンゲン様が誘拐される事件が発生致しまして。エッティンゲン様はお怪我もなく無事だったのですが、誘拐事件の裏に大規模な人身売買組織がいる事が判明しましてそれにかかわっている貴族、商会に対して大掛かりな査察が現在入っております。更に人身売買組織の背後にいるもっと大きな組織との繋がりを示す証拠を持った人物の逃走が確認されておりまして、現在、主要街道は各所に検問を配備しており、犯罪者の移送、貴族、商会長など一部政財関係者の通行、一定金額以上の現金、有価証券等の移動を制限しております。大変申し訳ないのですが、こちらは、例外は認めないと上からのお達しでして。」


「そうですか。それでは、領主都へ行くにはどうすれば?。」


「それは・・・。」


 衛兵さんは少し困った顔になった。


「ここだけの話にしてもらいたいのですが、よろしいですか?。」


「ええ、大丈夫ですよ。私からお聞きした事ですから。」


「私が言ったと言わないで頂きたいのですが、一旦来られた道をモリコロ村まで戻り、そこからウェルスロック領を抜けてでしたら今の所、検問は行われておりません。」


「わかりました。ご親切にありがとうございます。」


 アッシュバーンさんはそう衛兵さんに告げる。


「ちょっと面倒な事になりましたね。」


 馬車に向かう途中でアッシュバーンさんは俺に言った。


「ウェルスロック領とはどんな所なんですか?。」


「プテターン領とクブロスカ領に隣接しレインザー海に面した細長い領です。レインザー海と言うと怒る国もありますけどね。」


「ああ、隣国ですか。」


「まあ、そういった所です。面倒な事と言うのもそちら絡みでしてね。」


「と言いますと?。」


 俺はアッシュバーンさんに聞いた。


「トゲウオの街でもそうでしたが、ウェルスロック領もレインザー海を隔てて隣国に面する、ある意味、隣国の情報収集ポイントでもありましてね。」


「ほう。」


「位置的に言えばウェルスロック領のほうが近いですから、より、影響を受けています。」


「影響ですか?。」


「はい。具体的に言うと潜伏している工作員や協力者が多いという事ですね。」


「ははー、なるほど、それは国際問題をはらんだ囚人を移送するには面倒な土地ですなあ。」


「そうなんですよ。まったく、面倒な事になりました。」


 外交問題に発展しかねぬ囚人とそれを狙う影、更に隙あらばレインザーにダメージを与えんと目論む隣国、どんどん話はきな臭さを増していくのだった。


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