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意外と大丈夫異世界生活  作者: 潮路留雄
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興味を持ってもらえるって素敵やん

ジャングルクルーズを楽しんでいると、アルスちゃんが飛んできて5番屋敷制圧済みなのでこのまま下って行きますと伝えてくれる。

 どうやら先に偵察してきてくれたようだ。

 仕事が早いねアルスちゃん。

 そのまま川を下るとすぐに屋敷が見えて来る。

 ちょっとした桟橋もかかっており、冒険者風の男性が手を振って出迎えてくれる。


 「自分はブランカフォックスのサブリーダーさせてもらってるダイトウと言います。悪殺の団の皆さまですね。お疲れさまでした。後の事はお任せください。中でリーダーが待っております。」


 「どうも、クルースです。ありがとうございます。実は囚われていた人の中にプテターン伯の親類がおりましてね。先に知らせておいた方がよろしいかと思いましてね。」


 「なんと!!それはただならぬ事!!どちらの方ですか?。」


 という訳で俺はダイトウさんにエッティンゲンさんを引き合わせ、本人から説明してもらう事にした。

 堰を切ったように話し続けるエッティンゲンさん。

 ジリジリと後ずさりながら話しを聞いているダイトウさんは少し困惑しているようだ。

 

 「ダイトウさーん!どーしたのー!なにかあったのー?あっ!!トモちゃんセンセー!!。」


 「おーーっ!ネージュ!どうだった?誰もケガとかしてないかー?。」


 「大丈夫よー!私なんてうちで一緒にやらないかなんて誘われちゃったもんねー。ってそうじゃなくてさ!ダイトウさん、遅いってセルミーさん怒ってるよー。」


 「いや、それがちょっとややこしい事になっててだね。」


 「もう、面倒だからみんな連れて行きましょうよ。」


 なおも話し続けるエッティンゲンさんを含め囚われていた人達、そして内部協力者としてドーケンさんとウォーレンさん、そしてソルデン君を筆頭に屋敷にいた加害者側の人達、皆を船から降ろしてセルミーさんの待つ5番屋敷へ俺たちは向かう。

 

 「これはクルース殿、ご苦労様であった。桟橋で揉めていたようだがどうかされたのか?。」


 相変わらずのワイルド系美女セルミーさんだが、喋り方は武人だよ。


 「はい、実は囚われ人の中にプテターン伯の親類がおりましてね。」


 俺はエッティンゲンさんを呼んで説明した。

 エッティンゲンさんは俺が話しているのにかぶせてまくしたてるので、それを上手くいなしながら、尚且つ本人の身分証明はできる範囲に話をさせと言った感じで一通りの説明をする。


 「ふむ、なるほどわかりました。ダイトウご苦労だった、囚われていた人達を安全な所に案内してやってくれ。それでは、悪殺の団の皆さん、こちらの戦況をざっと説明しましょう。我々は、トゥマスクの衛兵隊と連動し各屋敷の制圧、囚われ人の解放、関係者の確保を順調に行っております。もうすぐ1号屋敷以外のすべての屋敷の作戦終了報告が入ると思われます。」


 「もうですか!早いですねー!。」


 「ええ、新たに作戦に加わった冒険者パーティーもいますし、プテターン領衛兵隊の全面協力もスムーズに得れましたからね。スムーズ過ぎる程だと訝しんでいたのですが、どうやらその理由は。」


 セルミーさんがダイトウさんにまくしたてているエッティンゲンさんを見る。


 「そうでしょうね。」


 エッティンゲンさんを見て俺も同意する。

 エッティンゲンさんの誘拐とスムーズ過ぎる衛兵隊の全面協力は無関係ではないだろう。


 「おおっ!!クルースさん!よくぞご無事で!。」


 大きな声を出しながらやって来たのはファントムカメリアのリーダーであり、今回の冒険者混合作戦のリーダーでもある、ケリクさんだ。


 「いや、ご苦労様ですケリクさん。」


 「クルースさん達こそ!本当にご苦労様でした。」


 俺は改めて、ケリクさんとセルミーさんに1番屋敷であった事を説明した。

 

 「ほう、こちらのふたりは協力者という訳ですね。わかりました、衛兵隊にはその旨を伝えておきます。」


 「ああ、良く協力してもらったのでな、所定労働の口ならチルデイマ学園に話を持ってきて欲しい。悪殺の団のミキイケがそう言っておったと伝えてくれぬか。よろしく頼む。」


 キーケちゃんがケリクさんにそう言う。


 「ああ、本当に良く力を貸してくれたので、それは我々の総意と思って頂いて結構です。」


 俺も重ねてケリクさんに伝えた。


 「わかりました。確かに伝えましょう。しかし、気になるのはサーヴィングと名乗った男ですな。いったい何者何でしょうか?。」


 「恐らく、イビルゾンの上が差し向けたプロだろう。」


 「イビルゾンの上と言われると、ミドルパですか。」


 キーケちゃんの話にセルミーさんが尋ねる。

 さすがのセルミーさんも表情が硬い。


 「恐らくな。いざと言う時にミドルパとの繋がりとなるようなものを処分するために雇われたのだろう。」


 「という事は。」


 「ああ、まずミドルパとの繋がりを辿ることはできまい。」


 「ウーム。こんな事を言うのは間違ってるかもしれませんが。レインザーとミドルパが事を構えずに済むのはありがたいですね。」


 ケリクさんが頭を搔きながら言う。


 「いや、ケリク殿、私もそう思うぞ。大元を断てぬのは業腹だが戦争は勘弁して欲しいからな。」


 「きひひひ、まあ、すべてはまだ推測の域を出ないからな。ところで、怪我人などは出ておらぬかな?うちの子供たちは足を引っ張らなかったかな?。」


 「あーっ、ひでーなーキーケ先生。」


 「まあ、ヘッズはセルミーさんのいう事をよく聞いてはいたな。」


 エイヘッズに続いてフライリフがフォローになってるんだか微妙なフォローをする。


 「はっはっは、彼らはよくやってくれましたよ。その若さでその腕前ならばもっと鼻にかけても不思議ではないのに、周囲と合わせる事も良くできてましたしね。卒業したらうちに来ないかと話していたくらいですよ。」


 セルミーさんは豪快に笑って、そう言ってくれた。


 「そうであったか。世話になったな。感謝する。」


 そう言うキーケちゃんに続いて俺もアルスちゃんも、感謝をした。

 あのシエンちゃんですら、我の生徒が世話になった、と感謝していたよ。

 

 「ふふふ、悪殺の団の方々にそんな風に言われるなど光栄の至りだ。ネージュ君から聞いたのだが、エマ君もチルデイマ学園に通う予定だと言うし、我々も彼らのような人材を育てる場所を是非見てみたいと思ってな。近いうちに見学させて頂いても良いだろうか?。」


 「ほう、セルミーがそこまで言うとは私も興味がありますな。うちも機会があれば是非、お願いしたい。」


 セルミーさんに続いてケリクさんまでそんな事を言う。

 チルデイマ学園に興味を持って頂くのは大歓迎だし、学園の生徒に社会人との接点を持ってもらうのも大歓迎なので、俺は喜んでお待ちしていると告げたのだった。


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