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意外と大丈夫異世界生活  作者: 潮路留雄
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やっぱりバーベキューって素敵やん

 衛兵さん達も撤収し、ミルメコレオの素材回収と換金も済んだ頃、キーケちゃんが戻ってきてその後のアロウバレイ侯爵邸での顛末を教えてくれた。

 アロウバレイ侯爵はご禁制品の不法取り扱いの罪状で、白装束仮面と一緒に身柄を拘束されてしまったようだ。

 侯爵なのに?と俺が聞くと、その辺が貴族の格式なのだとキーケちゃんは言う。

 これが、格式の高い上級貴族ならばいきなり身柄を拘束されたりはしないのだそうだ。

 むむむのむ。

 そんな所は、どの世界でも一緒なのかね。

 複雑な気持ちになる。

 まあ、魔獣を使った破壊行為や、あのご禁制品使用の罪が重いという事も勿論あるのだが。

 キーケちゃんの見立てでは、アロウバレイ侯爵は爵位剥奪、良くてお家取り潰し悪くすれば何らかの刑に服することになるだろうという事だった。 

 俺たちは理事長に事の経緯を伝えた。


「そうでしたか、アロウバレイ侯爵が。そうですか。前々から、黒い噂はあったのですよ、それこそ、先代から。やはり、付き合う相手が悪かったようですな。マウレスト家の事は不幸中の幸いでしたな。皆さんのご尽力に感謝いたします。」


 理事長にもいろいろと感じることがあったのだろう、噛み締める様にそういうのだった。


「ところでシエンよ、学園を襲った魔獣の素材買い取り金はどうした?。」


 キーケちゃんが尋ねる。


「ああ、それなら貰ったよ。それがどうしたのだ?。」


「きひひ、あたしもアロウバレイ邸を襲った魔獣の素材買い取り金がここにあるのだが、どうだ、今日はここにいる生徒たちも怖かったことだろうよ、みんなにこの金でご馳走をするってのは?。」


「おっ!いーねー!校庭でバーベキューでもやる?やっちゃう?。」


「それはいい!料理クラブの生徒も喜ぶに違いない!さすが、キーケちゃん!早速、クラブの生徒に言って調理器具を持って来よう!。」


「うふふ、ではわたしはクラブの子達と材料の買い出しに行ってきますよ。トモトモは理事長に言って許可を取って下さいな。うふふ、楽しみですねえ。」


「よしよし、では、その間にあたしは校庭に空いた穴を塞いでおくとしようよ。」


 みんな話を決めるのも早いし行動も早い。


「了解!じゃあ、理事長に伝えて来るよ!。」


「おう!頼んだトモちゃん!ついでだから理事長も誘ってやったらいい!。」


「あいよー!。」


 シエンちゃんらしいねえ、ついでだからって。 

 こういう事は人数が多い方が楽しいもんよ。

 俺は再び理事長の元に行き、キーケちゃんの発案を話した。


「それはいいですねえ。本日の件では生徒たちも動揺している事でしょうからね。お願いします。」


「是非、理事長もご参加ください。」


「私もよろしいのですか?。」


「ええ、勿論。こうしたことは大勢の方が楽しいものです。食堂の職員さんや用務員さんも含めて、今、学園内にいる人には皆、声をかけようと思っています。」


「それは、ありがたいです。正直な所、アロウバレイの件で気分が落ち込んでいたのですよ。彼とは昔からの知り合いだったのでね・・・。いけないいけない、湿っぽくなってしまいますな。ありがたく参加させて頂きますよ。」


「ええ、では校庭にいらして下さいね。」


 という事で俺は学園中に声をかけて回った。

 寮にいる者も含めると、休日でも結構な人数がいるものだ、一気に校庭が賑やかになった。

 食堂のおばちゃんたちは、そういうことなら今日は食堂は閉めちゃうから食材を提供するよっ!てな事になりましたよ。

 おばちゃんたちは、カゴに食材を詰めると食堂入り口に、本日の夕飯は校庭にて、と大きく張り紙をした。

 いいねー!やる気があるねー!

 そんなこんなで、校庭にてバーベキュー大会となりましたよ。


「先生、先生!アルス先生ってマジで強いのね。」


「だから言ったろうヘッズ。」


「おう、エイヘッズにフライリフ。見てたのかい今日の二人の戦いを。」


「見てたけど、戦いって言うより狩りだよね、あれは。」


「いやヘッズよ、シエン先生のは狩りでもないだろ。なんてーの?ケンカ?いや、違うな。運動に近いね、いつもシエン先生が言ってるやつ、体力つけるのも大事だがまずは楽しめって。体を動かすのは楽しい事だぞってさ。」


「ちげーねーな。ありゃ、間違いなく楽しんでたもんな。でも、なんにしても、アルス先生もシエン先生もハンパねーわ、ありゃ。」


「ああ、まったくだ。シエン先生、ロック鳥倒して食べたって言ってたけど、ありゃ、マジだな。」


「あのー。フライリフ君、よかったら、これどうぞ。」


「あら?君は料理クラブのコシーさんだよね?俺っちに?悪いねー。」


 フライリフにおずおずと皿を差し出すのは、シエンちゃんのクラスで料理クラブのコシーさんだった。

 おっと、これはスニーにライバル出現か?


「なんだよー、フラちゃんモテんじゃんよー。」


「まあまあ、ヘッズ。妬かない妬かない。」


 また、大人の余裕か!フライリフ!

 本当にこういう所、世慣れているってのかなんちゅーのか。


「あーー!エイヘッズ君みーつけた!こんな所にいたー!。」

「もーっ!お肉が冷めちゃう!。」


 こっちはこっちで女の子がワイワイやって来たよ。

 まあ、エイヘッズはいつもこんな感じだけどね。


「いやー、ゴメンゴメン。ちょいと、男の話をしていたのよ。なに?そのお肉?俺に持ってきてくれたの?ありがとねー。じゃあ、向こうでみんなで食べようねー。じゃ、先生、フラちゃん、またね。」


「まったく、忙しい奴だな。じゃ、俺っちもみんなと合流しますわ。行こうぜ、コシーさん。」


「えっ?えっ?えっ?う、うん。」


 またまた、こっちもこっちで自然によろしくやってますわ。

 校庭を見ればあちらこちらで肉を焼き、野菜を焼き、また、肉を切り、野菜を切っている。

 こういうイベントは楽しいよね。

 フライリフが合流したのはスニーやネージュも含めたクラスの子達のようだ。

 フライリフにくっついてきたコシーさんを見てスニーがちょいと膨れている。

 それを見たネージュが笑いながらスニーをつついている。

 向こうでは、キーケちゃんが生徒たちに囲まれている。

 武術クラブの面子だな。

 女子もいるのね。

 なんだか、カンフー映画の師弟みたいでカッコイイなー。

 アルスちゃんは文芸クラブのメンバーと一緒か。

 こちらは、おややや?

 さっきのエイヘッズを呼びに来た子たちがいますよ。

 勿論、エイヘッズもいるよ。

 あいつ、この間の劇の評判が良かったもんで文芸クラブにもちょくちょく顔を出しているみたいだな。

 まったく、大したやつよ。

 驚いたのはシエンちゃんが肉を焼いてるのよ!

 よくもまあ、自分が食べずに焼いてるなんてどういう風の吹き回しだ?と思っていたら、近くにいる料理クラブの子がちょこちょことシエンちゃんの口にお肉を運んでるよ。

 餌付けかいな!


 どおりで大人しく肉を焼いてるわけだよ。

 まあ、肉を一番おいしく食べるやり方についてはシエンちゃんに勝てる人はおるまい。

 と思っていたら、シエンちゃんの隣では食堂のおばちゃんがジュージューと腹が減る音を立てて、猛烈に何かを焼いているよ。

 対抗心むき出しといった具合だ。

 うーむ、近くに言ってパプリカか何かを齧って不敵な笑みを浮かべたいもんだ。

 私の記憶が確かならば、BGMはあの消防士映画のテーマで。

 俺も、手近な所から皿と焼いた肉を貰い食べる。

 いやー、今日も一日、お疲れっした!

 あちらこちらに挨拶したり、生徒に絡まれたりしながら楽しい夜を過ごしたのだった。


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