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意外と大丈夫異世界生活  作者: 潮路留雄
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生徒に教えるのって素敵やん

 チルデイマ学園に着くと校庭に人が集まり騒がしい事になっていた。


「あら、トモトモお帰りなさい。今日はキーケちゃんと家庭訪問だと伺いましたが?。」


「いや、そうだったんだけどね。」


 俺は今日あったことをざっとアルスちゃんに説明した。


「なるほど、それでですか。破壊商会の者が学園を襲うなんてどういった経緯かと考えてしまいましたよ。」


「これは面目ない。」


「いえいえ、そんなトモトモが謝る事ではありませんよ。それに、生徒たちに少しかっこいい所を見せることが出来ましたからね。うふふ。見て下さいよ、シエンさんったらずっとあの調子ですよ。」


 アルスちゃんが微笑みながら言った先に見えたのは、縛られた白装束仮面が二人とミルメコレオの亡骸が4つ、そして、生徒たちに何かを説明しているシエンちゃんの姿だった。


「ここはな、下手に傷をつけると毒腺があるから注意な!みろ、この切り口。これがアルスの魔法の凄い所なのだが、風魔法に火魔法をミックスして高熱のカッターで焼き切ることで、切り口からの体液流出を防いでいる。これを実戦でやるのは、かなり高度な事よ。こればかりは、我にも真似できぬ。その代わり、ほれ、こっちのやつ、我のやつな。こいつはキーケちゃんに習った内部破壊の技ね。魔法の気と内部に浸透させる打撃のミックスな。これはこれで難しい技よ。なんせ、打撃の力をな、伝達させるのよ。わかるか?」


 あらぁー、凄いねこれは。

 歩き回って説明するシエンちゃんの周りを生徒たちがくっついて回って、真剣に話を聞いてるよ。

 あらら、その中には留学生の子達の姿も見られるよ。


「こうした魔獣は死んだように見えても危険な事がある。よく注意せねばならんぞ。例えば毒腺が膨らみ破裂する事もある。そうした兆候を見過ごすことなく扱わねばならん。判断が難しい場合はむやみに近寄らぬ事だぞ!わかったか?。」


 おおーーっ!シエンちゃんが先生してはる!

 俺は思わず拍手をしてしまう。


「パチパチパチパチ!。」


「おう!なんだ、トモちゃんか。家庭訪問は終わったのか?。」


「ああ、その事なんだけどね。」


 俺はシエンちゃんに先ほどアルスちゃんに説明したのと同じ事を聞かせた。


「なんだ、そんな事があったのか。随分と回りくどい事をするなあ人間は。」


「まあ、キーケちゃんに言わせるとああいった組織にありがちな対処法だってさ。特に過剰な心配をすることはないだろうってさ。」


「うむ、そうか。我は構わんのだが事務所の子供たちなんかに何かあったらいけないからな。それさえ大丈夫なら良い。」


「二人とも、ありがとうね。学園を守ってくれて。」


「なーに、こんなものはクッキーと同じでお茶請けよ!そうだ!後でトモちゃんにも食べて貰おう!我と生徒とで沢山作ったからな!。」


 どうやら今日の料理クラブのメニューはクッキーだったようだな。

 俺は笑顔で頷いた。


「うふふ、守ったなんて大層な事ではありませんよ。あら?衛兵さんがいらしたようですよ。」


 アルスちゃんに言われて見ると、衛兵さんが学園内に駆けつけて来る所だった。


「お待たせいたしました!悪殺の団の方、いらっしゃいますか?。」


 うひゃー、生徒の前でその名を呼ばれるのはこっぱずかしい!


「あ、はい、すいません。私たちなんですけど。ちょっと、生徒たちの前であまりその名前を大きな声で言われるますと。」


「あー!これは、失礼しました!ここにいる間は先生なんですものね。さすが仕事の完遂に定評のある悪殺の、いや、これは失礼しました。では、恐れ入りますが事情聴衆をさせて下さい。」


 俺は家庭訪問2軒の話をし、アルスちゃんは学園であった話をしてくれた。

 俺とキーケちゃんがアロウバレイ邸ですったもんだしていた時、アルスちゃんは生徒たちと校庭で発声練習をしていたそうだ。

 声に指向性を持たせる練習だったそうだ。

 任意の人に声を届ける練習という事で、ひとりの生徒が複数の生徒に対して声を出し、受け手は自分に対する声だと思ったら手を上げる、そうした事をしていたそうだ。

 なによー、本格的やんけ!

 アルスちゃん、熱入りすぎて灰皿投げたりしないでよ。

 話が逸れた。

 そうして、生徒たちを見ていたアルスちゃんは学園に入ってくる白装束仮面の二人に気づいた。

 どういったご用件ですか、とふたりに尋ねたところいきなり地面に穴が開きミルメコレオが這い出してきた。

 アルスちゃんは、咄嗟に周囲に結界を張ると同時に二人組に空気弾を当てて昏倒させた。

 風魔法で生徒に注意を呼び掛け避難を促していると、校舎からシエンちゃんが走ってやって来た。

 待て待て待てーい!アルス一人でずるいぞ!我も混ぜろ?な?いいだろ?と言いながら、アルスちゃんが張った結界の中に普通に入ってきたそうだ。

 急ごしらえで張ったものとはいえ、そんなに何の抵抗もなく普通に入って来られては軽くショックを受けましたよ、とはアルスちゃんの談。

 シエンちゃんが入って来たので、さらに落ち着いて結界を張り直しミルメコレオが結界をカリカリ引っ掻いたり、体当たりをしたり、蟻酸をかけたりしても結界が崩れないのを確認した後、シエンちゃんと公平に二匹ずつ倒して今に至るという事だった。


「ご苦労様でした!それではそちらの曲者は、こちらで捕らえさせて頂きますね。それから、ミルメコレオの素材買取なんですが?。」


「どうぞ、引き取って下さいな。素材料金のみでいいですから。」


 アルスちゃんが言う。


「恐れ入ります。討伐料金が出なくて申し訳ないです。その分、色付けさせていただきますので。」


「いえいえ、本当にお気になさらずに。生徒たちにも良い勉強になったと思いますから。」


「良い勉強ですか?。」


「はい、冒険者や鑑定士、鍛冶師、旅をしながらの行商、海外での商売、そうした職に就きたいと考える生徒にとって生の魔獣を見ることは良い勉強になったと思いますから。」


「いやー、さすがはあく、いや失礼。プロの冒険者さんだ!教師としても一流でいらっしゃる。」


「うふふ、そんなことは。衛兵さんもご苦労様です。お手数おかけします。」


「いえいえ!なにも出来ませんで。今後は学園近辺の巡回班も作りたいと思います。チルデイマ学園の生徒さん達はレインザーの未来を担う子供たちですからね!。」


「ありがとうございます。」


 てな具合で学園を襲った連中の方は片が付いたのだった。

 しかし、我々のパーティーの評価ってどんなんだ?

 なんか、めっちゃ期待されてるみたいで怖くなってきたよ。

 まあ、チルデイマ学園の事が評価されるのは嬉しいんで良いんですけどね。


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