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エルフのどうたらより「前回の続き」

セレナの話

05 水の都に風を起こす少年


マオはティアと共にこの拠点を去った


…ティアという人物について触れておこうと思う


あー…その話をすると随分と長くなるのだけれども…


この際だから話そうと思う


マオと共に旅を始めて、この拠点に来るまでの話


話に区切りでも付けるのなら


そうだな、氷精編、とでも言おうか




マオに拾われ、旅に出るまで、保護者の代わりとなってくれたのはドワーフのルグだ


剣作りをしていたルグにいろいろと教えて貰い、職人として認めて欲しいなら、最高の剣を作りに、旅にでな、と


今思えば急かされていた気もする



さて、旅に出ることにして、マオが随分と引っ張ってくれたのを覚えている


マオとの二人旅


最初の行き先になったのは…水の都




「マオ…」


「…深い森ね、何?」


「いや…」


マオはこの二日間迷う素振りを一切見せずに歩いている


いやー、ついて行くけどさぁ、どこ向かってるの?



しばらく進むと森が開けて白い光が射し込む…射し込む?


というか、壁?



「マオ、ここは?」


「うーんっと、分からないけど、遠くからこの壁が見えたからね」


あの深い森でよく見えたなぁなんて思いながら壁に沿って歩いていく


少し歩いていくと門であろうものが見えてきた


随分と立派な壁だなぁ

壁は土魔法を何段か重ねたであろうもので羽のある魔物くらいしか中に侵入するのは難しい


さぞ大きい街なんだろうね

なんて話しながら門に向かった


門は開けられてはいるが入国のために門番さんの所へ行く


「あのー」


「…あぁ、冒険者か?いいぞ」


門番さんの反応はあまり良くなく

特になにか聞かれることも無く入る許可がおりた



マオに事前に聞かされていた話だと滞在期間とかはどこの街でも聞かれるはず…だったのだけれど



街に入った


街の外観は美しく、綺麗だ

道も整備されている


中央に見える大きな噴水からはキラキラと水が出ていて

街には大きな水路が通っていた


ただ…なんというか


全体的にどんよりとしている

空気が重いような…活気は無い


「コウ…心地の良い風を吹かせて」


そんな抽象的な…


やぁ…細かい調整なんて出来ないからイメージしろってマオは言いたいんだよね?


やりますやります



「…かぜよっ!」


うーん、抽象的!


ビュオッと後ろから体を突き抜けるような風が吹く


不思議と街の様子も晴れやかに見えた気がした



ガシッ


後ろから肩を掴まれた


「え?」


「キミ!ちょっと着いてきてくれ!」


さっきの門番さん?




「それで、この子供が風の魔法使いと?」


「はっ!」


大人しく門番さんについて行くと

ほかの家と比べると大きな家に連れてこられた


長いテーブルの椅子に座らされる


正面には疲れている様子の男性


男性の横には自分と同じような背の女の子

目は自分を品定めするかのように鋭い

というか睨んでる?


門番さんは男性の斜め後ろだ


自分の横にはマオ

マオは無表情


「其方が風魔法を使えると…?」


「あ、はい…」


なんだろう、見せた方がいいのかな…

でも…うーん


あ、魔法陣の方で見せよう


手のひらを上にして右手を出す


風を集めるように魔法陣を作っていく

小さい竜巻でいいかな


ヒュイン…

しゅごー…


「ふっ」


マオに笑われた…


「おぉ…」

門番さんから声が聞こえる


男性と女の子は目を見開いて驚いている


「ぜひっ、ぜひ力を貸してくれんかね!?」


バンッ!とテーブルを叩きながら立ち上がる男性


「ひゃぃっ!?い、いいですよっ!」

お、怒られるかと思ったぁ…




「コウ、さっきの声、どうしたのよ」

くすくすと笑いながらマオが聞いてくる


いやぁ、やめてぇ恥ずかしい

「急に怒鳴られたからさ…」


「うちのお父さんがすいません…」


さっき鋭い目で見ていた子がそう言う




頼み事とは街に風が吹くようにして欲しいというものだった


なら魔法陣を設置してきますよ


ということになり

「私は見届けてくるわっ!」

と女の子、改め、セレナが名乗り出た


いつからかこの街では体に異常は現れないが気分が良くない、という空気感になっているという


調べてもコレ、というのは分からず

具体的な対策が出来ないままという


壁は高く厚いため風の通りが普通よりは悪い


そこに現れたのが自分、という訳だ




街の壁のそば、角ばった場所でどんよりとした、肌に張り付くような空気にあてられる


「じゃあ、上に向けて風を発生させる魔法陣を作りますね」



作った魔法陣は設置して長く稼働させる必要がある、ならばある程度しっかりしたものを作る必要がある




ゼロからカマドを作る

魔法陣で土の生成に形を調整するように書いたものを発動させる


両手に収まりきらない程の大きさのカマドを作り火をつける


多めに魔力を通しやすい鉱石を用意する

ドロドロに溶かすあいだに…


風を使い下書きを作る



「…このくらいかな」


自分が二人は寝転べる大きさで用意する



「あー…地面に彫るようの道具がないや


そのうちつくればいっか…」


下書きの風にそのまま威力を持たせて地面に押し付ける

当たったところが削られ抉られる


そこに溶かした鉱石を垂らしていく



この魔方陣には

発動のために必要なものを周りから少しずつ吸収する機能

吸収し、魔力に変換する機能

上方向に風を発生させる機能


を付けた、大きいので複雑でも苦労しなかったのがいいポイントだ


ふわりとした風が発生し始める


「…すごいっ!」

セレナが興奮した様子で褒めてくれる


「うーん、凄いのは魔法陣を最初に編み出した人でなぞっただけの自分はそこまでだよ…」



剣作りも魔法陣も中途半端な自分は凄くはないのだ…


「いいえっ!凄いわっ!私と同じくらいの背なのに…あなた凄いわ!」



「背は関係ある…?」

マオがなにか呟いている


「そう…かな?」


「ええ!…私も、私も使いたいのだけれど…ダメかしら?」


「ダメ…では無いけれど、魔法陣を使うためにまずは魔法の特性を知っておかないと…」


「どこか、学べる場所があればいいのにね?コウ」


マオが話に参加してくる


自分は記憶喪失だったくせに魔法の知識を偏って知っていた


足りない知識と常識の埋め合わせをマオがしてくれたのは随分と助けられている


「学べる場所…確かにね、魔法の特性を知っていれば魔法陣くらいなら教え…」

「分かったわ!コウ師匠!」


食い気味で返事をするセレナ


「うぇ?師匠?」


「ダメかしら…?先生?」


「ダメね」


マオが返事を返す


「そんなっ」


「ここは立ち寄っただけだし、私たちは行くところがあるの」


え、どこ行くの?


「ね?」


マオに圧力をかけられる


「う、うん」


コクコクと頷く、少し焦っているようにも見える様子のマオ、ここは大人しく頷いておこう


「そんな…少し…少しだけでも…!」


ひしっとセレナに手を握られる


その目はうるうるとしている


「…」




結局水の都に長居することはなかった


マオは

ここでやることは終えているし、セレナのためにも、コウのためにも、何より私のためにもここに残るのは得策じゃない、と言う


どうしてかも教えてくれなかったし

どこに得策があるのかも教えてくれなかったマオは少し怖い顔だった




「お父さん…」


「セレナ、どうした?」


「私、この街のためにも学園に行きたいわ」

その手にはコウに渡された三種類の魔法陣と学園の入学手続きの紙が握られていた



水帝の少女

メビウス=セレナが活躍するのは

また別の物語

セレナは一番最初の小説から出ているキャラ…だったと思いますがここで掘り下げようとしたら時系列ごっちゃになったから落とした

後付なら余裕っしょとか無理な話よ

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