プロローグ
スナ国。
四方を緑に囲まれた小さな国。
二千人ほどの民が住み、争いも無く、細々と心豊かに暮らしていた。
そんな中、どこかから不穏な噂が届いた。
スナ国王ジアスの娘…つまり姫にあたる「フリージア」の秘めた力の事。
それは、魔の力とも神の力とも言われた。
「そんなものは根も葉もない只の噂だ。」
と、ジアスは相手にしなかった。
そんな時だった。
隣国 マタイ国から書状が届いたのは……
≪ スナ国の王 ジアスに告ぐ。
貴殿の娘、フリージアを頂きに参上する。
その歳 20になる夜、月が真上になる時、
貴国中央にそびえる「カネの塔」最上階に
フリージアひとりで おられるように。
いかなる抗いも認められぬことを、
わが国の名をもって これを伝える。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・マタイ国 ≫
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姫フリージアを守るため、城内部ではある計画が立てられていた。
影武者…つまり、似た人物を姫に見立て、本人を守るというもの。
もちろん影武者には護衛が付く。
本人さながらの扱いを受けるのだ。
護衛に付くのは皆、国内屈指の猛者たちである。
ランス★ 剣使いとしての実力もさることながら、真面目な性格から、リーダーとして今回の使命を取り仕切る。
セン★ 大人しい性格のように見えるが、動物を使っての戦術には目を見張る実力を持っている。
キホク★ 剣使い。あまり人との交流を好まず、いつも少し距離を置いている印象があるが、いざ戦いの場になると抜群のチームワークを見せる。
他にザディ、グレンら、国王が自ら指名した屈指の猛者たち。
皆、己の使命を全うするべく気持ちを固めていた。
そして彼ら護衛達には、影武者の事を伏せていた。
このことを知っているのは、国王ジアスとその側近、そして王妃ラビリス、フリージアのみだ
った。