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僕の弟  作者: 珂柏 涼瞬
7/7

神様!お慈悲を!!(下)

 僕は弟の行く末を案じた。

 逃げるように登校した、あの日。

 学校でも考えてしまう弟の処遇。

 進級に関わる宿題を出せない弟。

 出さなかったら、どうなるか?

 よくて、留年。悪けりゃ退学。どっちに転んでも最悪な状況の弟。

 今、僕は地理の授業だが頭の中で父が怒鳴っている。


「誰が授業料払ってると思ってるんだ。」


 怖い。帰って来ないで、父さん。


 

 








 時間も容赦なく過ぎ。とうとう私は家に帰った。家の玄関が目の前にある。開けたくねえなあ。だが、しかし自分には、ここしか帰る場所がない。意を決して重たい扉を開けた。


 …ただいま。あら、母さん意外と穏やかな顔して家計簿つけているね。

「お帰り。」

 弟は、いるよね。もしかして、さあ、……。

  素っ気ない母の様子を見て、最悪の事態を想定してしまう。

「結局学校に行かなかったの。」

 ああ、やっぱり。そうなってしまったか……。

「……。」

 弟の宿題どうなったん?

 この先は考えたくないなあ。

「出せなかったみたいよ。」

うわ!それじゃあ、………。

留年かな?終わった。弟、元気でな。

「それで今、宿題やってるの。」

 ????????ちょっと待って、母さん。今なんて言った?

「今、宿題を片付けているの。」

 なんで、今さら?提出日は今日でしょ?

「今日学校が休みになったの!」

 !!!!!!!なんで!だって今日は、平日ですよ!どうして!?

 満面の笑みを浮かべた母に、私は急いで質問をした。

「今日たまたま学校の暖房が壊れたの。」

 …………。神様は弟を学校に行かせたかったんだな。

「あ、父さんと同じこと言ってる。」

 マジ?で父さんは?どうせ、また電話したんでしょ?

「笑ってた。」

 そう言う母も笑っていた。

 

 詳しく話を聞いてみると、弟の学校では朝から学校のボイラーが故障し暖房がつかない。とかいう前代未聞な状況になったので、急きょ学校が休みになったとか。弟は運のいい人だ。神様がいるとしたら感謝。

 まあ、これで少しは懲りて勉強を……しなかった。また遊んでるし。おい、ニコニコで吹き替え版バイオばかり見てないで何かしろよ。

 

 なに、大学行って英語の先生になりたい!

 ……………神様、弟に何させたいんだか?

 もう、強く生きて下さい、迷惑掛けずに。



 余談

 

 後日、弟の担任と弟の会話(弟談)


担「君、宿題はやってきたかい。」

弟「はい。」

担「昨日のうちにやってきたかい。」

弟「想像にお任せします。」

担「やってなかったね。」

弟「……。」

担「運のいい奴め。」


 弟の進級は後日、無事に認可された。

  


 


 弟が、大学受験をします。兄としては何も起こらないことを祈るのみです。

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