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僕の弟  作者: 珂柏 涼瞬
6/7

神様!お慈悲を!!(上)

 

 弟は昔は勉強も出来ていた。しかし当時の弟には、その影はあまり残っていない。

 そんな弟がやってくれました。

 

 十二月の寒い冬のときだ。僕は大学受験が迫っていた。だから、弟には問題を起こして欲しくなかった。

 その朝、布団の中で目が覚めると静かな緊張が扉の外から伝わってくる。何だ。寝ぼけた頭を覚醒させようと大きく息を吸い、吐き出す。息が部屋の寒さで白いモヤになる。

「あんた、あんなに遊んでいて今頃なの。」

「いやだから、……」

「あたし知らないから、自分で学校に連絡してよ。自分の責任でしょ。」

 朝からどうしたんだ。まあ、いいや。何か学校行くとか行かないとか話してるし。声からして母と弟だろう。静かになったころを見計らって居間に行くかな。

 よし静かになった。

 おはよう。

「おはよう。」

 母がやや憮然としながら返事をしてくれた。腕組をし、椅子に腰かけている。その様子から、何かヤバいと感じるものがあった。

 今朝の言い争いは、一体どうしたの?

「ああ、それ。あの子ったら宿題が終わってないから学校休みたい、て言うの。」

 へ?宿題ごときで?なんだそりゃ。

「ただの宿題じゃないの、進級に関わる宿題なの。」

 ……………!!!!!!!!ちょっと待って!

 あの馬鹿、留年するなよとか思っていたけどついにやりやがった。やめてくれよ。あんな毎日遊び呆けていて大丈夫かなとは思ったけど、駄目だったか。

 やばいじゃん!

「うん。」

 母は大きく首を縦に振った。母の顔は渋い。

 弟もさすがに年貢の納め時かな?しかし、まいったなあ。

 そしたら、さすがの弟も観念して学校に行ったかな。

「いま自分の部屋で寝てるの。」

 んだそりゃ?確実に留年の道をたどっているぞ。 

 弟よ、どうしてそうなった。父の金で進学させてもらったのに何考えているんだ。留年するなよ。ストレートに卒業しようよ。

 とか僕が考えている間に母は、出張でいない父の携帯に電話する。

 


 何か空気が重たい。母の顔が曇っている。受話器から漏れ聞こえる低い声が怖い。父の声が地獄からの使者の声に聞こえる。

 父は弟を電話越しに呼び出した。一通り父と話した弟は、電話を切った。

 弟は顔を白くしながら、つぶやいた。

「殺される。」

 僕は逃げるように登校した。

 父が帰ってくるのはこの時点で二日後だった。

 


 ちなみに、私は留年はしませんが不真面目な学生です。

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