何でここにいるのかとさよなら
「して、お主は何故ここに?」
「晴さんこそ、何故ここに?」
「実はの・・・」
「じ、実は・・・?」
唾をゴクリと、喉をならして飲み込む
「・・・道に迷ったのじゃ!」
「・・・はああああああ!?!?迷子って・・・えー・・・?」
はっはっはっ!と豪快に笑う晴をよそに、秋は頭を抱えた
迷子って・・・。しかもそんな軽い感じでいいのか
私が言えないけどさ・・・
「で、お主は?」
「あー・・・、実は、前の戦で両親を失いまして・・・。そのあと、親戚の人と一緒に暮らし始めたのでしたが・・・。口減らし、ということで追い出されてしまったのです。そして二日間ぐらいさ迷い続け、漸くこの場所を見つけたのです」
ごめんよ晴さん、全部即席のウソ。許しておくれ
流石にタイムスリップしてきましたー、てへっ!は不味いからね
「そうか・・・。それは、大変だったな」
とても悲しそうな、苦しそうな顔をする晴さん
・・・騙してすみません・・・。あの、そんなお顔をされると、罪悪感が・・・
・・・まあ、私が悪いんだけどさ!()
「・・・なら、ワシの屋敷にでも来ぬか?そうすれば、ワシの小姓として養えるのだが・・・」
な・・・なんですって
だけれども、小姓はなあ・・・
ほら、戦国時代は衆道・・・つまりは男色があったわけで・・・
まあ、掘られる可能性は低いだろうけど・・・ね?
「それはご迷惑が掛かるので、お気持ちは嬉しいですが遠慮させていただきます。あと私は家主がいないのであれば、ここに住まわせていただこうかと思っていますので・・・」
「ふむ・・・、そうか。残念だ」
「わざわざ話を頂いたのに、すみません」
「別にかまわぬ。ただ、また来てもよいか?」
ふわりと微笑み、そう質問してくる晴さん
ひぇー、この人めちゃんこええ人やん
つーか、一人は寂しいからむしろ逆に来てほしいわ
「はい、ぜひとも」
「うむ。それでは、そろそろワシは行く。また会ったら話そう」
「ええ、また是非」
晴さんは、ゆらりと立ち上がって歩き始める
途中でこちらを見ず、手を振ってくる
私はその姿が見えなくなってしまうまで、手を振り続けて晴さんを見送った
「・・・さて、と」
天井を見上げ、蜘蛛の巣を見付ける
・・・掃除、しなくちゃなあ・・・
これからする掃除にため息を吐く秋であった




