初めまして、戦国時代
・・・うわー、なんてこったパンナコッタだわ・・・
秋は目の前の景色と己の身に起きたことに、絶句していた
なぜならば、目の前は一面田んぼ。そして、身体が男になっていたからだ
数十分前に遡る。秋は目を覚ました瞬間、目の前に広がる田んぼを見て、夢だと思いその場で二度寝を決めようとした
しかし、馬の足音が聞こえ、急いで近くの林に駆け込み、隠れて様子見をした。すると、馬に乗った武士が来たのだ
そこで秋は自分は死んで、タイムスリップしたのではないか、と考えた
夢女子なんだから、お約束の展開くらい知ってるわ
そしてさっきの人を見る限り、戦国時代。私が一番好きで、過酷だと思う時代だ
夢小説とか、そういうのを見ると主人公は現代の知識やスマホを駆使して、チート状態で天下統一やら歴史を改変するやら、凄い活躍をする
よし、ここで現実を見てみよう。私は義務教育の真っただ中で死亡。スマホなんぞ持ってない。登校中だったし
・・・見事に詰んでいる。いやはや、泣きたい
というわけで絶句中だ
とりあえず動きやすいジャージにきがえ、荷物の入ったリュックを背負う
片手にはたまたま入っていた鋏を持つ。気休めだ、気休め
ちなみに体に関しては、弟がいたため抵抗はあまりない。見るのはちょっと恥ずかしいけど
・・・で、これから私は何をすれば良いんだ・・・
どこかへ行くにも、一文無し。そして、妙な服装
どこに行ってもトラブル発生確実だぜ、わーい(白目)
・・・そうだ
もう命懸けだけど、サバイバルすればいけるんじゃね?
一応少しだけど知識はあるし。罠を作れば、肉が食える!そんでもって、人里に降りて売れば鐘
金が手に入る!このさい服は無視だ!ささッと帰ればいいし!
山菜もヨモギ、オオバコ、ゼンマイ、アケビなんかがある!
暫くは苦労するだろうけれど、まあどこぞの武士に仕えて女中・・・じゃない、今は男だ。戦に出て、あっけなく死ぬよりはマシだろう
「まっ、今はとりあえず住めそうなところ探して、掘っ立て小屋でも作るかな。不器用な私が作れるか知らないけど」
前向きに、楽観的に考えながら秋は森の奥へと進んだ