表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
本編(Mシリーズ+Aシリーズ)
93/527

M-091 レビテーション


レビテーション

着地魔法




 そこら辺に穴か、崖か、とにかく近づいたら危なそうなものがあったら、逃げること。

 そうしないと……魔法使いが落ちる。

 舟長は、出発前に斧戦士から言われたことを思い出していた。


「冗談だろ?」

「……すさまじい吸引力なんだ。覚悟しておくといい」


 真顔の斧戦士なんていつも見るけど、あんなに真剣な声色は初めて聞いた気がする。

 舟長は今にも落とし穴に落ちそうな魔法使いを見つつ、真剣に考えた。

 どうやって助ければいい?


「ひゃー高い―」

「叫ぶ力があるなら自力で上がってこい!」

「それは無理です」


 魔法使いの腕力はステータス的に言うと、230。

 一般人よりはあるが、パーティー内で最下位。

 具体的に言うと、穴のふちに引っかかる力はあるが、自分を持ち上げる力はない。

 都合のいい非力さをしている、と我ながら思う。

 魔法使いはシステムに感謝した。


「舟長ー助けてー」

「助けたいのはやまやまだが……オレは斧戦士と違って人間だからな?」

「いやだなあ、人一人くらい抱えられるくせに」

「あれは立ってたからできたんだよ! 吊られてる人を助けるとかハードル高いわ!」


 怒鳴りつけながら、舟長は焦りが迫ってくるのを感じる。

 何故かそこそこに深い落とし穴。魔法使い(168センチ)が三人ぐらい入りそうな……。

 おそらく、手を滑らしたら魔法使いの足の骨はただじゃすまないだろう。

 まあ、まず間違いなく折れる。


「こんな深い縦穴、誰が掘ったんだよ……」

「まったく舟長は役に立たないなあ」

「おまえの基準は斧戦士だろ? 人外と一緒にするなよ」


 斧戦士、言われたい放題である。人外って。


「とりあえず下に降りろ。このままじゃ、オレは何の手助けもできん」

「レビテーションが使えれば……」

「そういう便利な魔法は習得してないってこの間言ってただろ」

「いいや、物は試し、唱えてみよう!」

「唱えてみようって、魔法陣は!? 見たことないんだろ?」

「こないだの魔法祭りでちらっと見たから行ける! レビテーション!」


 魔法使いは典型的な覚えられない子である。

 もちろん、ちらっと見ただけなので、覚えている訳がない。

 しかし奇跡的な確率で、魔法使いはレビテーションの魔法を作り上げた。

 黄色の魔法陣が魔法使いの全身を包む。

 魔法使いはゆっくり下降していった。






魔「上に参りまーす」

舟「まさか自力(レビテーション込み)で上がってくるとは……驚いたぜ」

魔「これ面白いね、なんで今まで覚えてなかったんだろ」

舟「システムが悪い」

魔「魔法使いは攻撃魔法だけを覚えてればいいんだよ、と言わんばかりの構成だったものね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ