M-073 スノーボール
スノーボール
ゆきだまころころ
「雪が降る季節になりましたね」
「誰に向かってしゃべってるんだ?」
地味に地域が分かりそうな会話をしつつ、魔法使いは舟長に向き直った。
くるり。
「という訳で、舟長お持ちかねの攻撃魔法を作りました。スノーボールです」
「スノーボール? あんまり攻撃には向かなそうな名前だな」
スペルメイカーとして名を馳せ始めた魔法使い。
しかし、パーティーメンバーである舟長は少し不満なところがあったのだ。
それは魔法の派手さ。あるいはインパクトといったもの。
それがこの魔法使いの作り出す魔法には足りてないのではないか、と。
「また、否定から入るー」
「ああ、悪かったから。悪かったから続きを聞かせてくれ」
「スノーボールはその名の通り、雪玉を操って攻撃する魔法だよ」
「ほう……。すると、雪玉に敵を巻き込んだりできるのか?」
「できないよ」
「ちょっと認識の違いがあるようだな……。実際に唱えてみてくれないか?」
「いいよ。スノーボール!」
魔法使いが出した雪玉は、彼女の手のひらに乗る小さなものだった。
舟「また地味と言うか、ミニマム感というか……あれだな」
魔「雪合戦の時とかに使えるから! 無限攻撃!みたいな」
舟「ノーコンの女王が何を言ってやがる」
魔「大丈夫、命中率を上げればいつか届くさ」
舟「気の長い配達便だな」




