M-068 カースリバイブ
カースリバイブ
死霊術
「死霊術って格好よくない?」
「今度はなんの影響を受けたんだ?」
「こら、そこの舟長! 質問を質問で返すな!」
「おまえも答えろよ」
「いやー別にぃ?」
チラッチラッと視線を飛ばす魔法使い。
舟長は首を傾げて、目をそらした。
「ダークビジョップにまでなったんだし、死霊術が使えてもおかしくない的な?」
「シャーマン系の最終ジョブはシャーマンロードだけどな」
「エビルシャーマンの方が良かった? 邪悪感が伝わって」
「そういう基準かよ」
舟長は匙を投げた様子。
脱力して魔法使いを見つめる。
こういうときの彼女は、パワフルなので、逆らわない方がダメージを食らいにくい。
「死霊術つったって、どんなものがやりたいんだ?」
「代表的なイメージで、甦生した人物を操りたい!」
「それをおまえお得意のスペルメイカーでなんとかするってことか」
スペルメイカーとは、魔法を作れる人のことである。
これまで40枚以上の術式を書いて、魔法を唱えてきた魔法使いはスペルメイカーと呼ばれてもおかしくないはずだ。
一から作った訳じゃないから地位は低いかもしれないが。
「そうそう、そう思ってたけど、リバイブじゃ人の意志も呼び戻しちゃうの」
「死体とも人間とも言いがたい、不完全な蘇生を行わなくちゃならんってことか」
「そうね。リバイブから術式をパクればうまくいくかと思ったけど、そんなに甘くないわ」
「リバイブの術式ってどんな感じ?」
「はい、これ。なまじ完成してるから術式も簡単で、どこも弄れないんだよ」
術式はシンプルであればシンプルであるほど簡単で、そんな簡単な術式が美しく見えるようであれば、魔法使いとしての適正があると言われる。
魔法使いさんもよく、自分が作った術式が汚いと嘆くので、ちゃんと適正はあるということになる。
「ふーん、相変わらずよくわかんね」
舟長はシーフなので魔法使いの適正はない。
「斧戦士さんならわかってくれる」
「いつも思うけどアイツ何者なの?」
「分からん」
魔「カースリバイブは肉体のみ再生する魔法だよ。魂は入ってないから注意してね」
舟「出来たのか」
魔「外道行為に定評がある斧戦士さんの力を借りて作りました」
斧「その紹介の仕方悪意ない?」
魔「でも意思が宿ってないから、わたしがこの半死体を動かさなきゃいけないんだけど……おもーい」




