M-064 クイックウェポン
クイックウェポン
早着替え
「あ、これいいじゃん。作ってみよ」
魔法使いが魔導書を開いて、良さげな魔法を見つけたのはその日の午後のこと。
お昼ご飯を食べ終わって、各自好きなように過ごしていた時間である。
「みっそー」
歌いながら、魔法を作る。
とはいえ、作り方もやり方も手順も載っているので、そう困ることはない。
「できた〜」
ものの10分ほどで完成した。
魔法の名はクイックウェポン。
どんな魔法なんだろう。
魔法使いはわくわくした。
「舟長、魔法の練習に手伝ってよ」
「は? 今かよ」
「どうせ暇でしょ?」
「まあ、確かに、切羽詰まった用事はねーけど」
「クイックウェポン!」
「おい、うんって言ってねーのにかけるな!」
「気分どう?」
「サイアク」
魔「およ、なんで効果でないんだろ?」
舟「何の魔法か調べてから使えよ」
魔「魔導書には早着替えの魔法って書いてあった」
舟「……。そりゃおまえ、システムがデフォルトで付けてある機能を、魔法で重ねがけしてどーすんだ」
魔「そっか、もともとついてるんだった!じゃあSK以外の人に試し撃ちしなきゃダメかあ……」
舟「セインズとかいいんじゃね」
※セインズさんとは、エレメントフィールの項で、我らが魔法使いさんにボコられていた新米教師。システムに縛られていない、一般的な異世界人。




