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M-053 ソイスロー
ソイスロー
節分魔法
「今日という今日は絶対に聞いてもらうぞ、魔法使い」
「えっ、わたしなんか悪いことした?」
「そこそこ悪いことしてる」
朝から舟長に取っ捕まった魔法使い。そこそこ悪いこととは何なのか、頭をひねるが全く思い付かない。
「何の話?」
だから、単刀直入に聞くことにした。すると舟長は、一瞬真顔になり、それからいい笑顔で魔法使いを掴んだ。
「節分魔法ってなんだよ」
「節分の豆まきをしてくれる魔法のことだよ」
「なに普通に説明してんだ。正直それは手でやった方が早いし、SPも要らないだろ」
「これは攻撃魔法としても使えるんだ」
「まさか! ……鬼族特効!?」
「そう。間違って隣のうちに上がり込んでしまった鬼役のおじさんとかを、撃退できるよ」
「おじさーん!」
舟「こいつ、この間豆を食いながら、『節分の香りがする』とか言ってたんだぜ」
魔「だって加熱処理した豆なんか、節分ぐらいしか食べないじゃない」
舟「いや、普通に豆の匂いがするって言えば良いだろ」
ア「どうでもいいよ」




