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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
日記編(Dシリーズ)
524/527

D-71 サプライズボックス


サプライズボックス

びっくり箱! はずれもあるよ




「なあ、魔法使い。ものは相談だが、こういうものを作れないか?」

「魔法でってこと?うーん、やったことはないけど、たぶん作れるんじゃない?」


 今日は快晴。

 そんな空から雷でも降ってきそうな提案が、スカイアドベンチャーの自宅で起きた。

 普段、舟長と魔法使いと言えば、何かとライバル視してて、主に魔法使いが一方的に舟長を魔法の実験台にしていることで有名だ。

 それがまさか、舟長自ら魔法の餌食になろうとするとは、まさか舟長にはMの素質があるのではないか。


「魔法の知恵を借りに来ただけで散々な言われようなんだが」

「地の文を読むのやめれ」

「まあ、できなかったらできなかったでいいし、1個のネタだと思ってくれれば」

「急にファンタジーの住民になるな」

「どうすればいいんだよ」


 要求がとっちらかる魔法使い。

 彼女は大袈裟にため息をつくと、ドヤ顔で舟長を見上げた。

 そう、魔法使いは女性の中ではそこそこ高身長なはずだったのに、このパーティーで1番背が低い。

 要因はこのパーティー全体的な背の高さだ。


「私の魔法にできないことなんてないよ! 絶対作ってみせるからね!」


 すっかりやる気になった魔法使い。

 舟長はチョロくて心配になった。


「あ、それはそうと詳細が分かんないから教えてよ。仕様はちゃんと詰めないとね」

「あっはい」


 魔法使いとてビジネスの波にもまれて生きているのだ。


「ええーと、箱状で、開けようとすると勝手に開いて、音が出たり物が出たりするんだね」

「簡単に言うと、びっくり箱だな。でもって、出るものをあらかじめこちらが指定できるか、いくつか選択肢があってそっから選べるのがいいんだが」

「それは難しいかも。とりあえず、1番最初はいちばん簡単なのを作るよ。開けたら音が出るやつね」

「ほいほい」


 そんな会話をして2時間ほど経ったか。

 舟長が魔法使いの様子を見に行くと、魔法開発しているのが2人になっていた。

 増えたのは邪悪の権化、斧戦士だ。

 魔法使いが詰め込んだ魔法陣をしげしげ見ては、自分の手元の紙に何やら書き込んでいる。


「なんだか魔改造されそうな雰囲気だな」

「舟長、それは違うぜ。公開する前に改造してしまえばそれがスタンダードになるだろ?」

「何をスタンダードにする気なんだよ」

「おれの勘が言ってるんだ。舟長が欲しいってことは、他の普通の人も欲しいはず。つまりは金になるってね」

「そうかあ?」

「だってアサシンに隠し事したいんでしょ? 世の中、隠したいことがない人の方が珍しいぜ」

「おまえの口調も相当珍しいことになってるけどな」

「キャラがブレブレなのがおれのキャラだからセーフ!」


 今日は行け行けゴーゴーな斧戦士はなにやら企んでいる模様。

 魔法使いも有名になりたいという野望はあるので、止める気は無い。

 ただ、評判が落ちるので法外な値段で売るのだけはやめて欲しいな、と舟長は思った。


「そんな初期装備を999999999Gで売るみたいな真似はしませんよーだ。でも、しかるべき奴らにはしっかり金を払ってもらおうかね」

「斧戦士さんが悪い顔してる……」

「はぁ。それは任せるが」


 とりあえず家庭用と、罰ゲーム用と、察知隠蔽用と……。

 楽しそうな斧戦士。

 それを見る魔法使いも楽しそうだ。

 舟長は邪魔しただけだったか、と思い、身を翻す。

 しかし魔法使いが待ったをかけた。


「とりあえず舟長用には作ってみたから、早速使ってみてよ!」

「嫌な予感がする……」

「斧戦士さんの提案で、ダガーが飛んでくる、『そんなことしてないで帰りなさい』って紙が落ちてくる、何も起こらないの3パターン用意したから」

「嫌な予感がする!! どれが当たってもあとで刺されそうなんだが!?」

「アフターフォローはしかねます」

「使用は自己責任で!」

「いい笑顔で言うな!」






魔「で、自分でも試してみたんでしょ? どうだった?」

舟「ダガーが本気で殺しに来てたんだが」

魔「あれは察知隠蔽型から入れたから」

舟「何も起こらないのは躍起になった」

魔「パーティー罰ゲーム用だからね、おもしろいじゃん」

舟「紙はむしゃくしゃした」

魔「えー、1番王道なやつじゃない?」

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