D-67 ピースフルホシフル
ピースフルホシフル
それは勝算の少ない賭けだった
ここはどこでもある平和なファンタジー世界。
だけどある日、宇宙から飛来した謎の物体が弾けて目覚めてしまった。
物体は百年に一度、生物を取り込んでエネルギーにするのだが、その生物の一生は狂わされてしまう。
最初は微生物や、海に浮かぶプランクトンだった。
だから被害もなく、有象無象の中の一つがおかしくなるだけだった。
そのおかしさが進化や人類の誕生を生んだことすらあった。
そこまでは、物体は神の一人であったのだ。
だけど、それが動物、ペット、そして人間に移行したとき。
それの引き起こす災厄が初めて明らかになった。
狂わされた人間は、死ななかった。
身体が大きすぎた故か、死なぬ程度でも十分なエネルギーが確保できたためか。
どちらにせよ、人間は物体を脅威とみなし、排除、あるいは平和維持するための封印に乗り出した。
それを担ったのは、初めて物体を封印したと伝えられるとある一族。
この場では調停者とでも呼ぼうか。
調停者は物体を人間が視認できダメージを与えられる1000年を区切りに、世界に現れ、狂わされた人間たちを集めて、物体――スターコアを封印した。
しかし、時間は流れ、文化が育ち、大国がいくつも生まれ、調停者の一族はいなくなってしまった。
残ったのは、最後の1000年間と、100年ごとに生まれる気の狂った人間だけ。
これは、神の視点で最後の1000年目にスターコアに取り込まれ、人生を狂わされた貴族の男、サイバ・クロックの選択を描く物語である。
サイバ・クロックの家族は何者かによって皆殺しにされ、サイバただ一人が生き残った。
何故か手を出されなかった使用人たちの助けを借り、サイバは復讐を誓うが、突き止めた殺人鬼はなんと100歳を過ぎた老婆で、今にも干からびて死ぬところであった。
そこから過去を遡る術を得て、サイバはスターコアとそれに狂わされた人間たちを知っていく。
彼らの人生には、おかしくなっていくある一点が存在した。
ちょうどサイバの人生が、家族の死によって変わったように。
そこまではその後の変貌が嘘のように、当時の時代と身分に見合った平凡な幸せがあったのに。
サイバとその仲間たちは、自らの人生を変えるため、過去の改変に乗り出した。
これは奇しくも調停者たちが見いだした封印の方法と同じだった。
しかしこの封印方法には大きな弱点があった。
改変されて普通の人生を歩むようになった仲間が、サイバたちのことを忘れてしまったのだ。
いや、忘れてしまったというのは語弊があるか。
スターコアに取り込まれなかったら、サイバと彼らは出会うことなどあり得なかったのだから。
本当の人生を取り戻して仲間が去っていくなかで、サイバは考える。
このまま、自分の人生まで取り戻して、再び1000年の猶予を得るべきか。
それとも、幾度も繰り返され為されなかったスターコアの破壊を試みるべきか。
あるいは――。
魔「こういう小説を読みたいな。ゲームでもいい」
舟「また魔導研究所をネタ帳代わりにしてやがる……」
魔「最近クロノトリガーの曲を聞いたり、サガフロとかロマサガとか見てるからかなー」
舟「せめて伏字を使ってくれ」
魔「頑張れサイバ! サイバと世界の行く末を決めるのは君だ!」




