M-050 デスリカバリー
デスリカバリー
一度だけ死から甦る
「あ、やば」
魔法使いが声を上げたのは、戦闘中。それも最終盤のころだった。
レベル上げも兼ねて素材集めをしているSKにとって、戦闘は全員生存したまま終われるのが望ましい。
魔法使いの叫び声は、それを揺らがせるものであった。
「ちっ、次ターンで回復させるか」
「えい、アサシンレイズ!」
「はい、即死入りましたーざんねーん」
「ついでに全員レベルアップだぜ」
舟長の目論見は露と消え、ついでにモンスターも光の輝きとなって消えていく。
魔法使いに謝ろうと蘇生魔法を唱えた舟長だったが、それは失敗した。魔法使いが生きていたからだ。
レベルアップ時に貰えるボーナスステータスを嬉々として知力に振る魔法使いに、舟長は当然の疑問を投げ掛けた。
「また、強くなった♪」
「なんでおまえ生きてんの?」
「ふふふ。あのとき割れたのはわたしの命ではなく、このカードだったのさ。こんなこともあろうかと、戦闘不能からHP満タンで回復するカードを潜ませておいたのだ。そう、デスリカバリーのカードをね」
「デスリカバリー? それがおまえを生かした魔法か」
「そう。何らかの原因で戦闘不能になった場合に発動するの」
「つまりオートリバイブ?」
「不死鳥効果とも言うね」
魔「魔法をカードにして装備できるようにしているのは、イクエープマジックっていう魔法の効果だよ」
舟「確か、使わなくても一戦闘したあとに壊れちまうんだったか?」
魔「あんまりにコスパ良かったんで、あとから制限をつけたのです」
剣「その制限いるか? コスパ良いままでいいじゃねーか」
魔「いやいやいや。なんかすごいペナルティをあとから食らいそうじゃん。身の丈にあった魔法にしないと」




