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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
日記編(Dシリーズ)
494/527

D-46 アイ

作中にある乳首コントローラーはBL小説ですので、耐性のない方は注意。

この話のBL成分は5%以下です。


アイ

一人称の話




「舟長の一人称はオレですね?」

「字面では分かるが、全角カタカナのオレですね」

「斧戦士さんの一人称はおれやろ?」

「せやで。全角ひらがなのおれやで」


 ひらがなには全角しかないよ。


「どうしたの? 急にみんなの一人称なんか気にして」

「あのね。一人称って大事だと思うの。具体的にどう大事かというと、キャラを見分ける指針になるってことと、一人称だけでも結構性格が出る気がするのね。今日はそれについて考えてるの」

「なるほどー」


 とアサシンは言ったが、実のところよく分かっていなかった。

 こういう話題は、魔法使いと以心伝心系サイコの斧戦士に任せるか、やたらテンションの高いリアクションを返し続けてしまう舟長に任せるに限る。

 アサシンは、リビングにいた二人を置いて、そそくさと自分の部屋に戻った。

 なお、リビングには斧戦士と、早速リアクションを返してしまった舟長がいた。


「おい、待てよ。キャラの見分け云々で言ったら、オレと剣士被ってるじゃねーか!」

「キャラ被りの危機というのも、立派な個性だから」

「舟長には、割と使えないシーフ(リーダー)って称号があるじゃんね?」

「おまえら、フォローする気がないな!」


 ここで、舟長、周りを見渡す。

 さっきまでいたアサシンがいなくなっていることに気が付き、憤然とした。

 アサシンと舟長は恋人同士であるが、何故か甘やかな展開に持ち込めない不思議カップルだ。

 隣に、まったく甘やかな雰囲気を醸し出す努力すらしないカップルがいるからかもしれない。

 それとも、こんなとき、薄情な恋人め、と思ってしまう舟長がいたり、体のいい囮発見、と目をきらめかせていたアサシンがいたりするからかもしれない。


「まあ、これは私の設定する一人称の話だけどね」

「リアルの彼女の手腕が火を噴くぜ!」

「カタカナの『オレ』には砕けた印象があるね。口調にしろ態度にしろ、親し気である」

「全体的に雑な感じか。じゃあ、ひらがなの『おれ』はどうなんだよ?」

「穏やかな気質や口調をイメージするね。……穏やか?」


 魔法使いが斧戦士の方を見ながら、呆然とつぶやいた。

 この斧使い、口調こそ穏やかかもしれないが、実際の行動はサイコである。

 魔法使いのために手を汚した数は知れず、身体に通う血の色を聞かれそうなぐらい冷酷で、たぶん手は真っ赤どころかどす黒く染まってると思われる。

 舟長もやや懐疑的に斧戦士を見たあと、無礼罪でたたっ斬られていた。

 最高のヒーラーこと魔法使いに蘇生してもらった舟長は噛み付く。


「こういうとこだよ! こいつのどこが穏やかなんだよ!?」

「け、傾向だから。あと、斧戦士さんみたいに水面下で狂ってるタイプも『おれ』印象」

「だからか! ……ん? じゃあ、カタカナの『オレ』は伊達サイコなのか?」

「もしかして舟長、伊達サイコ扱いされたいの?」


 ナチュラルサイコにそんなことを言われてしまったらおしまいである。

 舟長は斧戦士を睨もうとしてやめる。

 さっきの二の舞はごめんだ。


「うーん、『オレ』はどっちかって言うと善人? 気前のいいおっちゃんみたいな印象」

「冒険者ギルドで最初に助けてくれるおっさん冒険者(中堅)かな」

「なんだ、その具体的な説明は。確かに、あこぎな商売やってない感はあるが」

「ちなみに漢字の『俺』は穏やかでも砕けてもないし、どちらでもある普通の人」

「急に個性なくなった!」

「そういえばスカイアドベンチャーには『俺』が一人称の人いないね」


 みんなが個性を光らせてるパーティーなので。

 元ネタがあるからできるだけ準拠している訳ではない。


「だから乳首コントローラー案件の彼は非常に普通」

「急にぶちこんでくるな! やめなさい、その話題は!」

「相方の魔術師は『俺』が幼馴染じゃない次元だとやや狂人染みてる」

「草」

「隣に相方いても狂人染みてる人いますよ!!」


 分岐によっては狂人化すると聞いて、一言で返す男、斧戦士。

 実はヤツは魔法使いさんがいないほうが静かである。

 ローテンションというか省エネというか。

 さらに同じ次元上に存在しないとなると、一転、国に貢献する愛国者(善人)みたいになる。

 ただし、いると分かった瞬間に、これまでのすべてを投げ捨てて、彼女の側にいるために万策を立ててしまうので、やっぱり危険な存在だ。


「同様に『わたし』は砕けた印象、『私』には真面目な印象があるね」

「分かるけど、分からん。見えるから分かるけど、見えんと分からん」


 舟長たちには、魔法使いの頭上に浮かぶ文字が見えた。

 オレ。おれ。俺。わたし。私。それから、あたし。

 魔法使いや舟長たちが話題に上げるたびに、対応する文字が光る。


「ぶっちゃけ『わたし』は『私』より頭が悪そうだよね」

「アホの子的なテキーラ」

「それ、おまえの一人称じゃねーの? 頭が悪いことを暴露していくスタイルなのか」

「はっ!? ……なんだ夢か」

「デッデデデデ、デッデデデデ、てれれーんてれれれー」

「歌い出すな!」


 しょうゆおいしいです。


「『あたし』はうちのモンクさんが使ってるくらいだね。普通は使わないからよく分からん」

「あいつ元ネタ的には『私』か『わたし』じゃね?」

「元ネタとか言わないでくれます?」

「強いていうなら、『わたし』より頭悪そう。蓮っ葉な口調してそう。あとオカマ」

「最後のはモンクのせいじゃなくてか」


 スカイアドベンチャーのモンクは最近正式加入した男性である。

  大事なことだから強調するが、オカマ的な口調だが男性である。

 オカマなんだから男性に決まってるだろ、と思ったあなた。

 モンクはオカマキャラではあるが、自分のことを男性だと思っており、口調は女性的で優しいが肉体はムキムキしていて巨大である。

 ピンクのフリルエプロンがお気に入りで、性格の可愛い女の子やオシャレや料理が好きだ。

 特に料理を美味しい美味しいと言って食べてくれる女の子が好きだ。

 だからなのか、モンクは魔法使いのことを気に入っている。


「だが、人妻だ」

「マイワーイフ!」

「妻ではないんじゃねーかな」


 まだ結婚してないんで、妻ではないです。

 人妻属性が好きな魔法使いさんの好みが移ったのだろうか。


「ちょっと! 語弊がある! わたしが好きな人妻はマリアさんだけだから!」

「誰だよ」

「そのうち発表する小説によるとセントマリなお家ですね!」

「どっちかっていうとマリアさんが本家だから!」

「なんだこの会話……」


 何故人は……ネタバラしをするのか。


「そういえば、アサシンはどういうイメージであの一人称なんだ?」

「全角カタカナで『ボク』ですね」

「あれは元ネタありきなんで。ないです」


 ないです、と突っぱねられた舟長は、今日一番のリアクションを返した。

 それはまったく、恋人への弁護ではなかったため、あとでアサシンに締め上げられたが。

 ともかく舟長は声を大にして叫んだ。


「元ネタがあるのかないのかはっきりしろ!」

「便宜上ないアル」

「元ネタはありまーす!」






魔「なに? 乳首コントローラーが気になる?」

舟「その話を蒸し返すな」

斧「性描写なしの創作BLだから、ここのサンドバッグの下りが平気な人は大丈夫」

舟「大丈夫かどうかは人によるだろ! サンドバッグのアレはギャグだから!」

魔「本人サンドバッグにとってはギャグやなくてリアルやぞ」

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