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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
日記編(Dシリーズ)
493/527

D-45 シェアハウス

内容がBLタグを付けるかどうか、であるため、BL的な話があります。ご注意ください。


シェアハウス

ハウス(牢屋)




「なあ」


 珍しく話題の提供先となったのは舟長。

 少し言いづらそうにしているが、そんなことを考慮するような優しい仲間はいない。

 そもそもそこには魔法使いしかいなかった。

 舟長もそれを狙って話しかけたのだから、当たり前だ。


「どったの。舟長」

「新しい登場人物紹介ができただろ?」

「なんとメタい。それが?」

「で、こないだの更新分でサンドバッグにアレな質問があったじゃん」

「ホモ成分補給的な話ですか?」

「なんでおまえ、こっちがオブラートに話してるのに問題を明らかにしてしまうの?」


 舟長は呆れたが、疑問は本当に問うている訳ではない。

 魔法使いはそういう性格だ。

 それは8年弱付き合いで分かっている。

 だから不思議そうな顔してる魔法使いはスルーして本題に移る。


「この小説ってBLタグ付けなくていいのか?」

「なんてメタいことを……! 付けなくていいでしょ」


 形だけ驚いてみせた魔法使いはあっけらかんと言ってのけた。

 微塵も自分の意見を疑っていない態度に、舟長はしばし停止する。


「一般の人が驚くようなどぎつい描写はわたし、できないし。頻度もそう高くないから要らないと思うよ。保険にするにはクオリティも足りないしね」

「そういうもんなのか?」

「タグは奥が深いもんよ。虫よけにもなるけど、期待する人もいるってことだから」


 魔法使いはそう言って舟長を見る。

 その角度は、これ以上話すと語り出すけどいい? と言っているようにも見えた。


「期待って、おまえみたいな奴らのことか?」

「わたしは部類としては相当高尚なタイプだと思われるけど、そうだね」

「おまえは何を言ってるんだ」

「だってそうでしょ? タグは検索するため、もしくは検索除けするためにあるんだから。そういうタグが付いてれば、内容にもそういう展開が求められる。サンドバッグのあれやこれやは全然メインに据えてないから、それで来た人はがっかりすると思うよ」

「もしかして、がっかりされたことがお有りで?」

「親友付き合い程度でBLタグが付いてた時は、『残酷描写は保険です』ってこういう気持ちかあ、って思った。親友モノもいいけど、そうでない親友も好きやで」

「あ、そう」


 実際語り出した魔法使いに、舟長の返事も雑になっていく。


「魔法使いさん、ただいま!」

「おーっと、斧戦士さん、おかえり」

「メカゴレームかよ」

「欠片も似てない件について」

「何話してたの?」

「嘘つけ。絶対知ってるし、頑張れは聞こえただろこの地獄耳」


 舟長がぼそりと言った。

 自他共に認める地獄耳な斧戦士は、舟長を斧で両断した。

 舟長は死んだ。

 魔法使いがリバイブをかけた。

 舟長は蘇生した。


「サンドバッグとか超どうでもいいからタグ問題は捨て置こう」

「やっぱり知ってるじゃないか!」

「実際問題としてはわたしたちの冒険に並行してヤツは日常茶飯事な訳だから、メインに据えているといっても過言ではない説もある」

「過言だ!」

「描写ないんだからないも同然だよ」


 斧戦士が呆れたように言った。

 斧戦士にとってサンドバッグはあくまで彼女を害した許すまじき男。

 彼女および斧戦士が受けた損害や不愉快を返すために、どんなことでもしていい相手だ。

 サンドバッグは対魔忍みたく気持ちだけで頑張っているが、それは却って苦痛であるはずだ。

 深淵の入り口で抗っている限り、サンドバッグは斧戦士の意図から逃れられない。

 だが、認めてしまうのも、彼ほど実力がある男には辛いことだろう。


「あ、でも。斧戦士さんからの殺害と、例のドリーマーからの襲撃で、割合は半々か」

「それに追加して、けしかけてるのと、勝手に召喚してヤってるのがあるから、3/4アレですね」

「え、サンドバッグが召喚してヤってるの?」

「うーん、最近サンドバッグを殺しに牢屋に行ってもいないことが多いんだよね。脱走してない時はほとんど、意に沿わない召喚を受けてるっぽい」

「あっ……(察し)」

「いやー、サンドバッグはおモテになるなあ」


 どうしても今サンドバッグを殺害したい斧戦士は、召喚魔法の跡を辿り、サンドバッグに仕込んだ生体GPSの位置を探り、違う次元の世界へ殺しに行く。

 脱走でない場合、サンドバッグはほぼ不利な場面にいる。

 斧戦士より劣るとは言え、凄腕の魔術師であるサンドバッグが自力で帰ってこられないのだから、相手がどれほど念を入れて準備してきたか分かるというものだ。

 だが、そんなことはどうでもいい斧戦士はサンドバッグをたたっ斬る。

 すると、サンドバッグは一度死んでしまうので、不利な効果デバフが全て無効化されてしまう。

 そのあと生き返れば、自分を貶めた野郎に報復できる訳だ。

 斧戦士は、自分のために斬り殺してるのか、サンドバッグのために斬り殺してるのか、分からなくなって複雑な気持ちなのだそうだ。


「斬らなきゃいいじゃねーか」

「嫌だよ! おれはいますぐサンドバッグを殺したいの!」

「駄々っ子みたいなこと言ってるけど、大人だし、言ってることマジサイコ」

「照れる」


 なお、生き返ったサンドバッグは、召喚者とその手助けをした者を許さない。

 世界が破滅してでも殺しに行くのだから、実は斧戦士と似た者同士である。

 自分のためだと嘯きながら、最初の友人を助ける男。

 誰かのためだと嘯きながら、その実自分のためにも画策する男。


「似た者同士だけれど、斧戦士さんはわたしのものですからね!」

「なんでそうなる! オレがそういう話を始めたからか!?」

「魔導研究所は、サンドバッグ含めカップル固定ですよ」






魔「サンドバッグが勇者として召喚された世界では、人間や死者を魔術の材料にするらしいね」

斧「精霊こと幽霊は、精霊石、魔力は魔晶石、勇者の力は勇輝石というものになるらしい」

舟「そういえば、いつかサンドバッグがあの青い幽霊を探して四苦八苦してたな」

斧「サヨンさんは死んでから最低400年経つ年代物の精霊だから、いい石が取れるそうだよ」

魔「エロ展開もいいけど、サンドバッグとサヨン君の友情もええわー」

舟「くそっ、そういうオチか!」

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