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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
日記編(Dシリーズ)
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D-44 ボルトチェア


ボルトチェア

お古ならよいのか




「斧戦士さん! 斧戦士さん!」

「どうしたの、魔法使いさん」


 スカイアドベンチャーの悪心こと斧戦士がたたき起こされたのは、午前3時。

 他のメンツはまだ寝静まっている夜の時間であった。

 一応恋人関係にあるこの二人だが、夜にも関わらず色気はいっさいない。

 それもそのはず、魔法使いが言い出したのはこんなことだった。


「サンドバッグの処理方法に電気椅子を入れよう」


 どうしてそんな発想に至ったのか、問い詰めたくなる。

 しかし、斧戦士はそれをせず、静かに口を開いた。

 夜中の急な訪問を諫めるのだろうか?


「うーん、あのね」

「うん」

「まず、道具がないでしょ?」


 いや、違った。

 馬鹿正直に真正面から話題に応じた!

 というのもこの斧戦士、想い人である魔法使いをこよなく愛している。

 どれぐらい愛しているかというと、彼女を狙う男性陣に自分以上の能力を要求するぐらいであり、彼女のために全人類を滅ぼし世界征服をしたいという野望を持ち、ついでにそれを彼女に話し、有事の際なら許すと返事までいただいているサイコ野郎なのだ。

 そうでなくても、サンドバッグを痛めつける話題は大歓迎。

 この執念深い男は、彼女を傷付けた男を死んでも許さない。

 さて、道具がないと反論されてしまった魔法使いは、即答した。


「作ればいいじゃん」

「サンドバッグのために作るとか嫌だ」

「なるほど」

「それにさ、効率が悪いじゃん」

「効率?」


 電気椅子に効率とは何ぞや。

 魔法使いは至極まっとうな反応で、首を傾げた。

 狂人の思考に賛同するは狂人や否や?

 いえ、ただの普通の人です。


「たとえば暇な時間が5分あったとするじゃん?」

「5分。かなり短いね」

「そう。いつもの矢印槍処刑なら、5分間に……そうだな、3500回ぐらい殺せるじゃん?」

「3500回……計算したの?」

「いや、適当に言ってる。それが電気椅子経由となると500回ぐらいに激減しちゃうのよ」

「500回も殺したならサンドバッグは相当ふらふらでは?」

「うーん、一日5000殺って目標があるからさ。達成できないとまずいでしょ?」


 目標があるなら仕方がない、と魔法使いはサンドバッグを見殺しにする。

 そもそも、と斧戦士は前置きして話を進める。


「拷問の体をなしてるものって、痛みを感じないと意味ないんじゃないかなあ」


 この男、サンドバッグの言葉は特に信じてないが、昔ポロリとこぼした若気の至り、『オレ、痛覚ないんすよね~(こんな口調ではない)』を忘れていないのだ!

 最近、確かにサンドバッグの身体的な苦痛耐性は上がって来ているので、サンドバッグに精神的ダメージを与えて、苦しんでいただくのは割といい案だ。


「じゃあ、電気椅子はドリーマーズにあげたら?」

「え、あれを電気フェチにしてしまうの?」

「そしたら、あれやこれやしたあとに通常電気アタックでも楽しくなっちゃうかもしれない」

「……それは、誰得なんだろう」

「わし得。という訳で、発動すると電気椅子を楽しめる魔法具作ったからあげる」

「えー。まあ渡しとくけどさ」






斧「よろこべ、サンドバッグ! 快楽ごうもん道具が増えたよ!」

?「なんか字面と聞こえたのがあってないんですが……」

斧「この魔法陣の上に立って発動すると、電気椅子を気軽に楽しめるぞ☆」

?「まさかこれ……オレが発動する、んですね……どんなマゾだよ!」

斧(ドリーマーズにもあげたって言うべきかな? 言わないほうがおもしろいか……)

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