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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
日記編(Dシリーズ)
488/527

D-40 デッド&ブラッド

やや閲覧注意


デッド&ブラッド

どんなに洗っても無駄です




「サンドバッグに怒られたー!!」


 似つかわしくない泣き声で部屋に飛び込んで来たのは斧戦士。

 ヤツは豪胆かつ残虐な性格で、サンドバッグ役の男に怒鳴られたくらいでは、どうともならない。

 はずだった。


「そのサンドバッグは今何してんの?」

「あ、やべ。生きてるわ。ちょっと行ってくる」


 案の定、全然悲しんでなどおらず、そそくさと用を済ませにでかける。

 しばらくして帰ってきた斧戦士は返り血でひどい有り様だった。


「拭いて」

「再生できれいなおれになります」

「なりふり構わなくなってきたな」

「はい、きれいになりました」


 一度身体を崩壊させ、黒い球体になった斧戦士。

 そこから再び人型になり、表面に色が付く。

 今度の斧戦士は、血糊のないきれいな斧戦士だった。


「で、なんでサンドバッグがキレた訳?」

「なんか『あなたは何人殺してきたのです?』とかサイコなこと聞いてくる奴がいたから、サンドバッグのところまで連れて行って、サンドバッグに経緯を説明したのち、『おまえは何人咥えてきた訳?』って言ったらしこたま怒られた」

「そりゃ怒るわ」


 てめーのせいだよ!! と青筋を立てて床を叩いているサンドバッグが想像できるだろうか。

 私はできる。


「最少二人なんだからセーフじゃん。そんなに怒らなくていいじゃん」

「最多ではなく最少なんですか」

「おれが別の人も勧誘してけしかけてるからね」

「慈悲はねーのかよ」

「彼女を害した野郎に?」

「ごめんなさい。なんでもないです」


 ああ、でも。と斧戦士は続ける。


「時々あいつの牢屋にあいつじゃない死体が転がってるからなー。勝率のほどは知らんが」

「防衛に成功することもあるのか」

「そんなボクシングみたいに」

「ボクシングの人に謝れよ? 一緒にしたら可哀想だろ」


 話がひと段落着くと、魔法使いが斧戦士に言った。


「で、結局そのサイコな質問おじさんにはなんて答えたの?」

「おじさんとは限らねーだろ。ほら、えーと。おじいさんかもしれないだろ」

「大して変わりがない件について」

「顔を仮面で隠してたね。自己申告はどうか知らないが、おれより年下だったよ」

「18歳以下? ずいぶんと若者を差し向けてきたな」


 舟長は勘違いしているが、斧戦士は幽霊である。

 すなわち彼の年齢は、死んだ歳+死んでから今までの合計である。

 そして捕捉だが、幽霊にも寿命はあるものの、斧戦士はその法則を能力で無視し限界突破の最中である。

 幽霊界、最年長を更新し続ける男。それが斧戦士なのだ。

 だから、彼より年下なのは当たり前である。


「そういえば、サンドバッグの間に放置したままだった」

「答えてもないのかよ」

「ちょっと行ってくるー!」


 そう言って、再び斧戦士は霧のように消えてしまった。

 いつになく元気な斧戦士の様子に、付き合いの浅いモンクだけが首を傾げていた。






サ「あなたは何人殺したのですか?」

斧「霊魂分も含めるとすごいよ!」

サ「答える気がないなら明かすまで! いでよ、デッド&ブラッド!」

斧「目の前の牢屋が真っ赤になったね」

サ「この魔法はあなたが殺したすべての場所で血だまりを発生させます。おや……?」

?「間違いなくオレを殺しているせいですね」

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