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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
日記編(Dシリーズ)
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D-25 グラスシーザー


グラスシーザー

カッター擬人化




「こんにちは! マスター」


 これは、夢かな。

 もしくは――あいつの仕業か。

 背中に緑色の鎌を背負った幼女に挨拶され、舟長はうなった。

 魔法使い! どういうことだ!


 舟長は叫びを心中に収めるなど、慎ましやかな性格ではない。

 二階からの怒声に、魔法使いは階段を駆け上がった。

 ノックもなしに舟長の部屋に滑り込んで、怪訝な顔をした。


「誰?」

「魔法使い! 仮にも異性の部屋に入るんだからノックぐらいしろ!」

「えー。舟長が大声で呼ぶから急いできたのに」


 舟長の怒りも何のその、のそのそと部屋に入った魔法使い。

 結局ノックはしていない。

 今、彼女の頭に占める内容は一つだけ。

 ひとえにこの少女が――舟長の部屋のベットの上にいる鎌幼女が、誰かということだ。


「舟長」

「なんだ?」

「アサシンちゃんへの言い訳は考えてある?」

「どういう……ち、違うわ! 馬鹿野郎!」


 怒鳴られた魔法使いは舌を出す。

 舟長はアサシンにベタ惚れだ。

 あれだけ冷たい態度をとられてもすがりつくのだから、間違いない。

 焦ったようすの舟長をひとしきり楽しんで、魔法使いは本題に入った。


「で、あの子誰なの?」

「おまえが知らないんじゃ、誰も知りようがないな」

「どういう意味じゃ」

「だって、ここで起こる騒動のほとんどはおまえのせいじゃんか」

「あとでエナフォな」


 統計データが云々とか言われた魔法使いはそっと杖を掲げた。

 舟長は慌てて回避行動に出る。


「本人に聞いてみればいいんじゃなかろうか」

「なるほど。一理あるね」

「じゃあ、魔法使い。会話は頼んだ」

「何故コミュ力皆無の人間に頼むのか」

「そりゃ、男のオレが幼女に話しかけたら事案だろうが」


 それもそうか。

 魔法使いは至極納得した。

 コミュ力皆無な人間が話しかけても事案は発生しそうなのだが、そこは置いておこう。


「君だあれ?」

「こんにちは、マナマスター! 私はグラスシーザーと申します!」


 ロリロリな見た目して礼儀正しい幼女である。

 魔法使いはグラスシーザーに重ねて尋ねた。


「グラスシーザーちゃんは何ができるの?」

「草を刈るのが得意です!」

「その緑色の鎌、もしかして草刈り鎌?」

「はい! さすママ、お見通しですね!」


 さすママとは。

 さすがマナマスターの略である。

 魔法使いがママになった訳ではないので安心しよう。


「ところで、なんか異臭がするんだけど……」

「あっ、ご、ごめんなさい! マナマスター」

「どうしたの?」

「マスターたちに会えた嬉しさで……その、お」

「おおっと?」


 雲行きが怪しいですね。

 舟長の顔がやばいです。


「おもらししちゃいました!」

「うぇい!?」

「ワッツ!?」


 思いがけない事態に二人は叫ぶ。

 舟長はともかく、魔法使いが叫んだのだ。

 仲間たちがぞろぞろと舟長の部屋に集まってきた。

 そこには剣士やアサシンもいて。

 剣士がにっこりと舟長と肩を叩く。

 アサシンが氷点下のフィールド魔法を背負い始めた。

 あっちで修羅場の宣言がなされている間に、こっちでも修羅場が始まりかけていた。


「おまえ、いったいどこから現れた……?」

「マナマスター! 助けてください!」

「おまえごときが魔法使いさんに助けてもらうなんて……百年早い!」


 最強に高めた警戒心で最高の一撃を繰り出す斧戦士。

 グラスシーザーの鎌とオリハルコンの斧が、激しくぶつかり合う。

 火花が散る。

 炎が燃え上がった。


「ん? 炎?」


 舟長の部屋がごうごうと音を立てて燃えていた。






舟「オレの部屋が!?」

剣「あの子いったい何者なんだ?」

ア「斧戦士の攻撃を受け止めてるなんて!」

魔「ただの幼女じゃないってことね!」

斧「魔法使いさんは渡さない!!」




魔「草刈り機がおもらししたって聞いて書いた話」

ア「あれ、ガソリンだったんだ。確かに異臭だけども」

斧「言うておもらしって幼女に限らなくない?」

舟「そこでロリババアだろ。何故テンプレを使わない」

剣「すべてを包括する存在か……さすがだぜ」

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