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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
日記編(Dシリーズ)
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D-23 サクセス!2


サクセス!2

なぜこんな流れに




 あのあと。

 薬を飲んで寝かしつけられたはずの魔法使いが夜通し泣いていたり、朝になってもリビングに来なかったり、かと思ったら今度は全員に謝り倒したり、情緒不安定この上ない魔法使いを再び寝かしつけ、はや三日。

 ようやく普段の様子を取り戻してきた魔法使いを、四人が囲む。

 様子がおかしくなっても、決して魔法使いを傷付けようとはしなかった仲間たち。

 照れくさそうに、魔法使いは笑う。


「えへへ。良かった」


 目を細めて笑う魔法使いに斧戦士が近づいた。

 きょとんとする魔法使いの顔を、覗き込む。


「目チェック。よし、異常なし」

「そういう判定でいいのかよ」


 舟長が呆れているが、なんのその。

 斧戦士にとって、第一は魔法使いの安全。

 それは身の安全という物理的なものから、心の安全まで含む。

 精神的に乱れている魔法使いを、放っておけるはずがなかった。

 ……今は、大丈夫のようだ。


「魔法使いちゃん、とっておきのお菓子があるから、一緒に食べよう」

「剣士のオレがお茶を入れてやろう」

「ボク、ココアで」

「おまえは自分で入れろ」


 剣士が甘いのは、魔法使いだけだ。

 元同僚のアサシンにはちっとも甘くない。

 素っ気なく断られたアサシンは渋々立ち上がって、台所へ。

 剣士と共に台所から出てきた時には、湯飲みを持っていた。


「ココアじゃなかったのか?」

「ココアだよ? 一番近かったのが湯飲みだった」

「こいつがオレの入れようとしてた湯飲みをパクったんだよ」

「ああ、どうりで魔法使いのお茶はコップなのか」

「馬鹿野郎! コップでもお茶は飲むだろ!」

「なんでオレ怒られてんの?」


 舟長が頭をかくが、誰にも相手にされなかった。


「見て、街で買ってきたの。お家で食べるプチパフェ!」

「このサイズなら魔法使いさんも食べれよう」

「なんだその日本語」

「日本語とか言うな。一応異世界ファンタジーなんだぞ」


 舟長がわめいたが、当然全員無視した。

 その手のメタ発言はとっくの昔に飽和しているのだ。


「何味にする?」

「うーん、迷うなあ……」

「魔法使いさん、迷ってるならみんなで分け合えばいいよ」

「そりゃあいい! オレもたくさんの味が楽しめるぜ」

「まあ、いいけどさ。今度はちゃんと分けてやるよ」


 舟長が分け与えなかった事件は、M-082 ナッシングを参照のこと。

 ちなみにアサシンもお菓子くれなかった。

 みんな、もっとシェアハッピーしようぜ!!


「じゃあ、わたし、チョコ!」

「ボクはストロベリーかな」

「珍しく甘いものじゃねーか。オレはバニラ」

「女の子は甘いものが好きなんですよ? 抹茶です」

「残ったのはコーヒーか。オレはこれでいいぜ」


 全員が選び終わると、斧戦士が全員分の小鉢とスプーンを持ってきた。

 付属のスプーンは貧弱過ぎて使い物にならなかったのだ。

 めいめいがちょっとずつ小鉢に自分のパフェを配る。

 スイーツパーティーが始まった。






魔「人によって成功者の定義って違うよね、って話をしようとしたらこうなった」

舟「どんなルートだよ。……オレにとっての成功者は、パーティーからハブられない者、かな」

剣「切実だなあ……。個人的に、オールマイティーな奴はムカつくな」

ア「ボクは……慢心しないで勝てる奴とか?」

斧「魔法使いさんの信頼を得られる奴」

舟「おまえはぶれませんね」


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