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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
日記編(Dシリーズ)
470/527

D-22 サクセス!

登場人物が病んだ(notヤンデレ)発言をしています。

苦手意識のある方はブラウザバックを推奨します。


サクセス!

GLOW




「あー。わたしも成功者になりたい」

「のっけからどうしたの?」


 不吉なセリフから開始したのは魔法使いその人だ。

 何故か斧戦士が近くにいないので、アサシンが対応するがそれがまずかった。

 魔法使いは急に鋭い目をして、アサシンを指さす。

 その目には珍しく、敵視のような悪意が込められていた。


「アサシンちゃんはいいよね。誰とでも友だちになれて」

「え? そ、そんなことないよ。表面上の付き合いが多いし……魔法使いちゃんだって、」

「わたしが何? わたしね、ずっと羨ましかったの。初対面の人でも怖気ずに話しかけられるってこと」

「ど、どうしたんだよ、魔法使い! 正気に戻れ!」


 舟長が割って入るが、魔法使いは止まらない。

 その瞳は濁って昏い。

 こんな状態は、あのときと一緒だった。

 M-358 フェスティバル。

 と言っても、あの場で魔法使いの目を見たのは、斧戦士だけなのだが。

 魔法使いを含めた四人は発狂していて、他人や鏡を見ている余裕などなかった。


「舟長だって。周りにたくさんの人がいて。それを築けるのだって、才能の一つなのよ?」

「な……おまえ、いったい」

「それなのに、いつも能力がないってことネタにして。本当は苛ついて仕方がなかった」

「そ、そんなこと言われてもな……今度から気を付け」

「そういうところも嫌い。いつも最適解を出せるところが。曲がりなりにもリーダー務めるだけはあるってこと? パーティーに気を遣えるオレかっけー? 嫌味か何かですか?」


 いつもは怒っても杖でポコポコ殴りつけるぐらいで済むのに。

 今、舟長を襲うのは言葉の刃だ。

 こうなったら最後、治せる可能性があるのは斧戦士ぐらいか。

 表面上慌てながら、それでも冷静に舟長の脳が最適解を繰り出す。

 ならば。

 オレのできることは――。


「あのな、魔法使い。話だけ聞いてやる。それ以外は、専門家に任せるからな」

「ふーん。いいよ。好きにすればいいじゃん。他人なんか、興味もない」

「自分が傷付くようなことは言うなよ……ま、あとでいくらでも泣き言ぐらい聞いてやるよ!」

「ひゃ、なに!? 暴力!?」

「馬鹿言え! 防御力低い奴にそんなことする訳ないだろ!」

「やだ! 舟長嫌い! あっち行って!」


 気の強そうな発言から一変、わあわあと泣き出す魔法使い。

 いよいよもって打つ手がなくなった舟長が頭を抱えたとき。

 玄関がにわかに騒がしくなった。

 アサシンの驚愕の声が聞こえる。

 ようやく、ようやく帰ってきたのか。あいつが。


「魔法使いさん、ただいま」

「嫌い! 嫌い! うわああん!」

「そんなに机をたたくと、手を痛めるよ」

「いいもん、別に! そんなこと、どうだって!」

「……おれが良くないのでダメです。さあ、寝ましょう」


 斧戦士は魔法使いを担ぎ上げると、のしのしと階段を上っていく。

 舟長とアサシンは恐る恐るその様子を窺った。

 斧戦士と共に買い物に出かけていた剣士が玄関で、二人をきょとんと見ていた。





舟「まだそばにいなくていいのか?」

斧「いまのところは。ところでこの発言だけど。つ『防御力低い奴に~』」

舟「傷付いてる魔法使いを傷付ける訳にも行かないだろ」

斧「その気遣いはありがたいけど、防御力あれば殴ってたの?」

舟「そりゃ、おまえみたいな奴があんな挙動し始めたらぶん殴ってたわ」

斧「はっ、返り討ちにしてくれる」

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