M-045 サモンヒューマン
サモンヒューマン
人を喚び出す
「召喚っていいな〜」
「またなんかゲームでもしたのか? あんなこと言ってるけど」
「さあ、ボクは把握してないなぁ」
「わしも召喚魔法覚えよ!」
魔法使いはぴょんと飛び上がると、ソファから転がり落ちるようにして駆けていく。目指すは自分の部屋! さあ急げ、階段を駆け上がるのだ。
「ところでアイツ、わしって言った?」
「たぬき」
「ああ、『た』抜きね。てかいつものことじゃない」
「いやだからさ……誰かアイツに言ってやれよ。それ痛いよって」
「舟長が言えばいいんじゃない」
「えっ、オレは別に……」
そんなことが階下で起こっているとは知らずに、魔法使いは魔法陣を書き続けていた。
とはいえ、始めて扱う魔法だ、そう簡単にうまくいく訳もなく……。
「できたー!」
うまくいってしまった。魔法使いは早速その成果を報告しに、階段を下りていって……。
「サモン……」
「たぬき?」
「たぬき」
「たぬき、たぬき」
「なんで、たぬき……?」
たぬき語に侵されてしまったSKの有り様に、魔法使いは困惑することしかできない。
いや、一つだけやれることがあった。
「みんな正気に戻れー! エナジーブラスト!」
すなわち死による、初期化。一度死ねば、どんな状態異常もクリアされる。あとはみんなを蘇生させれば完璧だ。
さあ、リバイブでみんなの正気を取り戻そう!
魔「人間を一人召喚します」
舟「うちは五人までなんで、帰ってもらえますか」
斧「第一、喚ばれる人ランダムだろ。その辺のおっさんとか戦力にならんぞ」
ア「おっさんならいいけど、遠くの町の幼女とかだったら、下手すれば、ボクたち誘拐犯だよ」
剣「やっぱ人間を召喚するのが間違ってんじゃね?」




