表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
日記編(Dシリーズ)
461/527

D-13 スペルメイカー3


スペルメイカー3

創術師




「なるほど、チェリルさんの作る魔法具は、冒険者よりと」

「自分たちが冒険者だからな。足りないものから作ってるからそうなるんじゃね?」

「身近な不足を解決する……ふむ、本質だね」


 魔法使いは、ちびちびオレンジジュースを飲んでいる。


「では、そろそろ本題に移ろうか」

「魔法使い、出番だぞ」

「も」

「それで返事するな」


 協議会幹部ナオミが、水晶玉を取り出した。

 何らかの魔法が注入された魔法具だろう。

 ナオミが水晶玉に向かって手をかざすと、ディスプレイが浮かび上がった。


「これからこの水晶玉に、チェリルさんの情報を書き込んでいく。無事終了すれば、チェリルさんは晴れて魔法具を売ることができるようになる」

「あの、わたしは何をすれば?」

「こちらの質問に答えてくれればいい。できるだけ素直に」

「分かりました」


 素直に頷く魔法使い。

 ナオミの質問タイムが始まった。


「あなたの名前は?」

「チェリル・グラスアロー」

「性別は?」

「女性」

「出身は?」

「フロカの村」


 フロカの村は、舟長たち三人の出身地ブツニの村の近くにある。

 斧戦士も、フロカの村出身だ。


「仕事は?」

「冒険者」

「現在の所属は?」

「スカイアドベンチャー」

「現在のジョブは?」

「魔術師」


 普通の冒険者は、ほぼフリーで活動している。

 そのため、今組んでいるパーティーとの関係が永続的に続くわけではない。

 事情によって、いろいろなパーティーに所属するのが、冒険者らしい姿だ。

 スカイアドベンチャーのように、仲間うちだけで組まれたパーティーは珍しい。


「魔道具販売拠点の名前は?」

「魔導研究所」

「では、魔導研究所の構成員は?」

「わたしを含めて五人」

「最後の質問だ。君がスペルメイカーになった理由は?」

「……なんだっけ?」


 魔法使いが振り返って、四人を見るが誰も答えられない。

 当然だ、本人が話していないようなことを答えられる人間がいるだろうか?

 いや、いた。斧戦士だ。

 斧戦士が、日記を取り出した。

 365日書き続けた日記帳の名前は、『魔導研究所』。

 これが生まれた理由は、至極単純なものだった。


「わたしの大好きなゲームの魔法を作りたかったの」


 魔法のネタにしてまで、そのゲームを知って欲しかった。

 娯楽的な理由に、ナオミは驚いている。


「再現度には期待するなよ」

「舟長、うるさい」

「事実じゃねーか」


 だんだんいつもの調子を取り戻してきた魔法使い。

 杖でぽかぽかと舟長をたたく。

 腕力が低すぎて、ダメージが入らない。

 それでもぽかぽか殴る。


「ふふ。あなたはおもしろい人だ」

「え?」

「チェリルさん、これが許可証だ。これで名実ともに、我々の仲間だな」


 これからもよろしく頼むよ。

 ナオミと魔法使いは握手を交わす。

 魔法使いはこの日、自称スペルメイカーから、公式創術師になった。

 魔法使いの功績が、スペルメイカー協議会に認められたのだ。






魔「創術師だって。カッコいい!」

舟「時々思うが、おまえのセンスって変だよな」

ア「自分もそんなセンス良くないのに、よく言うね」

剣「容赦ねーな」

斧「さて、何を売りたい? 魔法使いさん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ