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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
日記編(Dシリーズ)
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D-03 ハイバード


ハイバード

読み間違えたんじゃ




 鳥のように空高く舞いたい。

 そんな風に思うのは、人類共通の夢か。

 特別高いところが好きでない、高所恐怖症な彼女はふと思った。


「実際に飛んでみればいいか」


 彼女、魔法使いは、舟長に会いに行った。


 スカイアドベンチャーという冒険者は、飛行船を持つ。

 機械の塊であるそれは、ファンタジー世界にそぐわないものであった。

 どこから手に入れたのか、そんな詮索を避けるため、普段はリーダーの舟長が一括して管理しているの だ。

 舟長は家のリビングにいた。

 のんきにもくつろいでいやがる。

 魔法使いは突撃した。


「舟長、くらえー!」


 襲撃するのに、大声を出して飛びかかるなんて愚の骨頂である。

 当然、襲われた舟長は飛び起きて、その場を離れる。

 魔法使いは、椅子にぶつかった。


「いたい」

「何をしてるんだよ……」


 舟長は呆れるが、魔法使いはその程度でめげる女ではない。

 自身にヒールをかけると、何事もなかったかのように唐突に話し始めた。


「そうそう、舟長。聞きたいことがあるんだけど」

「いやな予感しかしないが、聞こう」

「空って飛べたらどんな気持ちなんだと思う?」

「知らん」


 当然ながら、まだ飛行魔法の普及していない現在。

 舟長の答えは短かった。


「じゃあさ、ちょっとお願いしてもいい?」

「いやだ。絶対あとで斧戦士に殺される」

「なんでよ!」

「おまえの考えてることは全然分からんが、いや、まさか。とにかく、ダメだ!」


 魔法使いは、空を飛んでいる飛行船に自身の身体を括りつければ、風を感じられるはずだと思った。

 舟長は、飛行船からヘリコプターの如く魔法使いをぶら下げればいいのか、と思った。

 ……似た者同士である。

 かくして、願いの叶わなかった魔法使いは、それでも魔法を作り上げる。


「ハイバード!」


 呪文を唱えた魔法使いはふわりと浮き上がった。

 1メートル60センチぐらい浮いた、彼女は。

 盛大に怖がって、二度と魔法を使わなかったという。






魔「やっぱり人間は空を飛べないんだよ」

剣「これ、空を飛ぶっていうか、浮いたレベルじゃね?」

舟「低空飛行にもほどがあるだろ」

斧「元は、Hybridだったんです」

ア「よ、読めないこともない!」

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