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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
隣の大陸編(Fシリーズ)
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F-50 リーブデータ


リーブデータ

売っても安心



 ヴィジュアルイリュージョンは、魔法使いの作った魔法ではない。

 この大陸のスペルメイカー、ホワイトウィザードが作った魔法だ。

 そんな魔法だが、今日、掲示板に載った。


「ヴィジュアルイリュージョン、バージョンアップ?」

『魔法が改良されたようだね。なんて書いてあるんだろう?』

『ふむ。なにやら配っているチラシに書いてありそうだな』


 ホワイトウィザードは、クリアヘッドの開発者でもある。

 ファッションや見た目にこだわる魔法から、女性ではないかと噂されているが、真相は定かでない。

 そんなことはともかく、エルナは野次馬と一緒に広告を受け取る。


『ちょっと離れたところで読もうよ』

『確かに。ここにいたらエルナが人混みに押しつぶされちゃうぜ』

『ありそうで困る』


 エルナはそんなことない、と言い返したかったが、実際人混みの勢いは強い。

 おとなしくアサシンの言葉に従うことにした。

 しかし、現実は甘くなかった。

 いつもは昼時以外、スカスカな広場が。

 なんというこ(略

 げふん、広告を持った人たちでいっぱいだ。

 さらに――。

 誰が設置したのか、巨大な全身鏡の前では、一人ファッションショーが始まっている。

 エルナはあんぐりと口を開けた。


『げ、すげーなホワイトウィザードとやらは』

『人気なんだねえ』

『むー』

『魔法使いさんだって負けてないです』


 斧戦士が張り合っている。

 とにかくこんなに人が多くては、読むものも読めないので。

 エルナは一旦帰宅することにした。

 歩きやすい街道を抜けて、ココの村へ。

 宿屋ですっかりお馴染みになった203号室に入る。

 ここならば、一人っきりだ。

 ゆっくり読めるし、ファッションショーだってできる。


「すみません、翻訳お願いします」

『承った。よし、日本語にしたぞ』

「えーと、ソルドスターに残留していた装備情報をプレイヤーに反映し?」

『うんうん』

「魔法の参照先として利用することで……」


 エルナの声が次第に小さくなる。

 何だこの文章は。

 この大陸の文字が読めないエルナでなくても、腰を落ち着けて読みたくなる訳だ。


『結論だけ見ちゃおうか』

『エルナ、一番最後の行を読んでくれ』

「はい、分かりました。これで、売却済みの装備をヴィジュアルイリュージョンでも再現できるように! だそうです。……え?」

『いいね! これで、見た目カッコいいけど、要らない装備を持っている理由がなくなったよ』


 実に説明的な魔法使いのセリフに、エルナはピンと来たようだ。

 試しに、ヴィジュアルイリュージョンを唱えてみる。

 するとどうしたことか、売り払った金枠の装備があるではないか。

 弓のアイコンをタップすると、エルナは背中に弓を背負う。

 弓使いのなんちゃってコーデだ!

 一方、剣士たちは魔法使いのセリフに言及していた。


『的確過ぎる表現だな』

『剣士、感心してないで少しは止めたら? もっとオブラートに包めって』

『オレは舟長ほど馬鹿じゃないんでね。斧戦士には殺されたくねーよ』

『そのぐらいじゃ怒らないと思うけどな……』

『どーだか。このなかじゃ、オレが一番生存率が高いんだぜ?』

『バトルの生存率は最下位のくせに……』


 けなし合う三人を、斧戦士が残念そうに見ていた。






魔「これは要る?」

E「ううん。見た目が気に入ってただけだから、要らない」

ア「見て、女の子たちが服を片付けてるよ」

舟「おまえも女の子だろ。あと装備って言え」

剣「珍しいな。アサシンが舟長に怒られてる」

斧「あとで家庭内暴力に発展しないといいが」

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