F-47 ソルドスター
ソルドスター
いらない装備の使いかた
エルナの帰還期限まであと一か月。
今日はケビンたちから離れて、ココの村でまったりしていた。
というのも、エルナには一つ問題が発生していたからだ。
「はあ……」
『どうかしたの、エルナちゃん』
「装備が、いっぱいで……プレゼントボックスにあふれてるの」
『ああ、許容量を超えたんだね』
『売ればいいんじゃないの?』
アサシンがあっさりと答えを口にする。
しかし、自慢げな表情は一瞬だった。
剣士が一言、こう言ったからだ。
『どこに?』
『……ど、どこにだろうね……』
『マネー商人に売りつけてみるか』
『でも、装備品って、モンスタードロップか、ガチャでしょ?』
『マネー商人、関係ないんじゃないか?』
マネー商人とは、この大陸でもっとも権威のある商会の構成員だ。
語尾にマネーを付けたり、路地裏で活動するなど、怪しいことこのうえないが、実際は良心的な商人だ。
冒険者の取引相手としてよく名があげられ、冒険者から信頼を得ている。
初登場は、F-18 メディカルリーフである。
ステータスを底上げする怪しい葉っぱを交換してくれた、いい人たちだ。
『ぐぬぬ』
「とりあえず、試しに売ってみようと思います」
『え、だ、誰に、っていうかどうやって』
「だって、ここの画面に『売る』ってボタンがありますから」
なんじゃそりゃ、と画面を覗き込む五人。
確かに、装備品を管理する画面に、ボタンが一つ。
そこには『売る』と書かれていた。
「ポチっとな」
『あ、売却画面に変わったね』
「複数選択できるのかな? あ、できた」
サクサクと装備をタップして、最後に『売却確定』というボタンを押すと。
選択した装備がぱっと消えて、代わりにダイアログが表示される。
どうやら、装備を売った代金のようだ。
「でも、とてもお金には見えないような……」
『確かに。流れ星みたいだね。きれい』
『売ったら高そうだけど、そういう用途じゃないよね……違う気がする』
「あ、分かりました。このダイアログを閉じてっと」
エルナがダイアログを閉じると、もう一つダイアログが表示された。
――あなたが売却した装備は、トレジャーフォールに還りました。
粋な演出に、五人が感心した。
「トレジャーフォールに還ったってことは……どういうことなんでしょう」
『新しい装備品に生まれ変わった、みたいな?』
『そんでもって、エルナやほかの冒険者の到来を待ってるんだな』
「すごく、素敵ですね」
魔「イッツ、ファンタジー!」
舟「ここ、ファンタジー世界なんだし、当たり前だろ」
ア「それで、結局この星は何に使うの?」
E「はい、ソルドスターと呼ばれていて、装備品のスキル強化に使えます」
剣「ほーう。不要なものが有用なものに変わるのか。いいシステムだな」
斧「ちなみに売っても二束三文でしか売れません」
魔「見た目隕石だけど、みんな装備を売れば手に入るからね」




