F-43 ウィークミッション
ウィークミッション
そんなものはない
セミナの街から帰還し、ココの村で一服するエルナ。
場所は寝床でもある、宿の一室。
ここならば、エルナがどれだけ独り言をしようが咎められることはない。
実際には独り言ではなくて、スカイアドベンチャーと話しているのだが。
「ミッションあると、やる気が違いますよね」
『そのために冒険できるっていうかな』
「そちらにもデイズミッションがあるんですか?」
不思議に思って聞き返すエルナ。
エルナとて、スカイアドベンチャーに詳しい訳ではないからだ。
隣の大陸の冒険者が、どう生活しているかすら知らない。
炎のダンジョンがあって、移動手段は徒歩だとか、そういうのも知らない。
だから、彼らの話にはいつも食いつく。
『ウィークミッションならあったよ』
『んなのあったか?』
『あったじゃない。小鳥の羽をむしってこいだとか、ワインを献上しろだとか』
『あー、あれか。ランキングでポイントがもらえるやつな』
そのポイントで何ができるかというと、アイテムが交換できる。
それだけである。
こっちは手当たり次第にハピネスバードから羽をむしり取ってきたというのに。
もらえるポイントはたかが80ほど。
自分で稼ぐことのできるポイントは5とかそんな感じ。
それを思えば、ミッションの報酬は高いのかもしれない。
だが、交換リストには三桁や四桁のポイントを要求するアイテムが並ぶ。
やってらんねーぜ!と投げ出した我々の気持ち、分かるだろうか。
『あと、ランダムドロップするハートでランキングを競うと、ラブレターがもらえるんだ』
『嘘を教えるな。あと要らねーもの寄こすなし』
魔「ちなみにハートは所持できないうえ、特定のクエスト中、特定の人物しか落とさないよ」
舟「仮にドロップしても、その場で本人に返却されるからな。……うう、頭が痛い」
ア「トラウマの話を積極的にしようとするから……」
剣「いつもこいつらトラウマってるよな」
斧「魔法使いさんを含めるな。彼女は既に克服済みだ」




