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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
隣の大陸編(Fシリーズ)
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F-36 キャピタルイベント11


キャピタルイベント11

帰還できない




 お腹を満たしたエルナは、二人に別れを告げる。

 目的は果たしたし、あまり王都にいる理由もない。

 ココの村で、女将さんやケビンが心配しているかもしれない。

 そう考えたエルナだったが、予想外にもハワードが食いついた。


「帰りはどうやってココの村まで行くんだい?」

「えーと、馬車にしようかと」

「馬車じゃ、ココの村までは行けないよ」

「ええ、馬車は途中の山のふもとで止まっちゃうわ」

「え? そうなんですか……じゃあ、そこからは歩きます」


 山脈を一人で登ると宣言したエルナに、サロメは言う。


「ダメよ。女の子一人で山登りなんて。危険よ」

「君の今の装備では、山には登れないと思うよ。何日もかかるし」

「えーと」


 考えてしまうエルナ。

 確かに、いまの見た目装備では、とても山に登れそうにない。

 長いローブは歩きにくそうだし、木の枝にひっかけて転びそうだった。


「エルナ。正直に言ってほしいの。今日はどうやってここまで来たの?」

「サロメ! そんな言い方しなくてもいいじゃないか」


 エルナは目をそらす。

 実際には目をそらしたのではなく、視界のミニキャラに助けを求めたのだが、二人にはそう見えた。

 サロメがエルナに詰め寄る。


「ど、どうしよう……」

「おれがエルナを担いできたんだ」


 ケンカ一歩手前の三人に、第三者の声が割って入った。

 ワープして飛行船に戻ったはずの、斧戦士だ。

 黄金に輝く巨大な斧。長い緑髪。高身長。

 人々を威圧しながら裏道から現れた男は、まさしく怪しかった。


「あなたは誰?」

「トキワ・リック。エルナの知り合いだ」

「そうなの?」

「はい」

「帰りもおれがエルナを担ぐ。それでいいだろう?」


 いや、よくない。

 ハワードとサロメは、この急に現れ出た男を信用できなかった。


「ええーと、リックさんで――」

「トキワさんです」


 わざわざ名前を訂正する斧戦士。

 じゃあ、なんで名乗ったし。


「と、トキワさん。失礼だけど、あなたはどこの生まれかしら」

「ブツニの村……といっても分かるまい。おれたちは隣の大陸から来た冒険者だ」

「たちって……エルナもそうだってこと?」

「それについては……ふむ。ここでは往来の邪魔になる」


 エルナが周囲を見渡すと、怪しい四人組は注目されていた。

 なお、大半は怪しい格好をした二人のせいである。

 誰とは言わないけれど。


「どこか静かに話せる場所を設けようじゃないか」

「ハワード……じゃあ、ギルドはどう?」

「そうだね。僕の特権を使って、奥で話そう」


 さっきの防音部屋は使わないようだ。

 斧戦士は表情を変えない。

 防音効果はあったほうがいい。

 だが、最悪どうにだってなるのだ。

 知力魔術師こと魔法使いの手掛けた魔法が、ノイズレスがあるのだから。


「エルナ、ついてきてちょうだい」


 警戒して硬くなったサロメの声色に、エルナは不安そうに従う。

 斧戦士は、エルナを励ますように肩に手をかけた。


「はい、あめ玉」






魔「そのタイミングで?」

ア「なごませようとしたんだね」

舟「いや、もしかしたら、これは斧戦士の戦略かもしれんぞ」

剣「あめ玉、口に入ってると喋れないからな」

斧「… 出張中 …」

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