F-06 サブパラメータ
サブパラメータ
装備品がドロップする理由
異世界を旅行中の少女は、異世界人の青年と歩いていた。
彼はかなり気遣いのできる人間のようで、体力のない少女を心配してくれた。
「女の子一人で森に入るなんて、危険だろ。パーティの人はいないのか?」
「あ、私、ソロなので大丈夫です」
「ほんとかぁ? まあいいや。ココの村にはあと10分ぐらいかかるぜ」
「10分……たぶん行けると思います」
「分かった、少し休憩しようか」
その辺の切り株を指さす青年。
少女は切り株をテーブル代わりにして、草地に座り込む。
「いや、そっちじゃなくて……」
「え?」
「うーん、なんでもない」
青年は頭をがりがりかいている。
少女の視界の端でも、同じような反応が見られた。
具体的には、アサシンが呆れていた。
「あんたのこと、少し聞いてもいいか?」
「……? 大丈夫です」
「名前とジョブと、そうだな。この辺のモンスターのドロップアイテムを持ってたら見せてくれ」
「えーと、み……エルナです。ヒーラーをやっています。あとは……」
少女は武器ぶくろを開けて、なかを探した。
あった。さっき、二回目の戦闘で落とした装備。
少女には必要ないものだったが、ゴールドの枠が付いていたので取っておいたのだ。
ゴールドの枠、すなわちそれは、上から二番目にレアな装備ということだ。
「これでいいですか?」
「こ、これは……ハンターズナイフ! しかもレア!」
青年の異様なテンションに、少女は引いたりしなかった。
少女にも心当たりがあることだったからだ。
「もしかして、集めてますか?」
「ああ。エルナさん。トレードお願いしてもいいですか」
「そんなに固くならなくても。あげます」
「い、いや! 無償でもらうのはさすがに……なにか欲しい装備とかあれば言ってほしい」
少女は少し考える。
ゴールドの枠の装備品は、今のところ集めていない。
ゴールドよりレアな装備を要求するのも変だし、どうしたものか、と少女が困っていると。
視界の端で黙っていた魔法使いが耳打ちをした。
『お礼は、村までの案内って言えばいいんじゃない?』
「……村まで案内してくれれば、お礼は要らないです」
「そんなことでいいのか……? じゃあ、しっかり案内するからついてきてくれ」
青年は戸惑いながらも、ハンターズナイフを受け取った。
少女は立ち上がる。
お日さまは少し頂上から降りてきつつあった。
夕方になる前に、ココの村に行く。
そのために、青年と少女は歩き出した。
魔「レア度の低い装備をサブにまわして、ステータスアップじゃ!」
舟「唐突なババアパフォーマンスやめろ」
斧「えいっ。それはさておき、相手を傷付けない言いかたって大事」
ア「その斧で舟長を殺しておいて、よく言うね」
剣「リバイブで蘇生っと。やんわり断るのは、大人な対応だぜ」




