M-358 フェスティバル
フェスティバル
みんなでトリップ!
「こないだはごめんねえ」
「おれは嬉しかったよ」
すっかり具合の良くなった魔法使いは、斧戦士とお話しする。
斧戦士の嬉しかった出来事というのはなんだろう。
魔法使いが斧戦士のことを語ったことだろうか。
それとも、魔法使いの世話ができたことだろうか。
「今度はみんなで楽しくなろう」
「なんか危ない発言みたいだから、やめよう」
「ううん」
力強く、魔法使いは言い切った。
斧戦士は驚く。
彼女はこんなにも、強い人だっただろうか?
「ね、みんなを呼んできてよ。斧戦士さんってば」
「……分かった」
存在意義は、彼女の全肯定。
斧戦士は魔法使いの言葉に逆らわない。
やがて、三人を連れて来た斧戦士は、彼女の前に座る。
さあ、どうぞ。と言わんばかりに。
「……ふふ。フェスティバル」
「いつもみたいに叫ばないのか? ……って!?」
「魔法使いちゃん、まだ元気ない、のっ!?」
「どうした二人とも!? うぐ……」
魔法の波動が四人に襲い掛かる。
四人の目が怪しく曇った。
魔法に支配されたのだ。
「ねえ、舟長、そこに這いつくばってくれる?」
「すいません、アサシンさん、マジで許してください」
「舟長。ちょうどいいとこにいるな……切れ味、試させてもらうぜ」
「魔法使いさん。三人が変です」
昏く濁った目で斧戦士は言う。
魔法使いを覗き込んで、眉根にしわが寄る。
魔法使いの目もまた、現実を映していなかった。
「みんな一緒に……楽しいよ、わたし」
「……辛いならもっと言っていいんだよ」
魔法使いさん以外の人類なんか、滅ぼしちゃうからね。
斧戦士はそう、魔法使いに約束して、呪文を唱えた。
「ディスペル」
魔「のわー!? あ、あれ!? なんだこれ!」
魔「ディスペル、ディスペル、ディスペル、ディスペール!」
ア「ありゃ、舟長が死んでる」
剣「オレの剣が血だらけだぜ」
舟「」
斧「彼女は笑ってるのが一番さ」




