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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
本編(Mシリーズ+Aシリーズ)
376/527

M-349 サモンドリーマー


サモンドリーマー

捕まったら最後……




「くそっ、あのドリーマーどもめ!」


 牢屋の隅で膝を抱え、涙をこらえる男。

 青年は、彼が精神的苦痛を得ているのを実感し、実に満足げ。

 しくしくと、女々しく泣き始めた男を見ながら、ふとさらなる悪夢を思いつく。

 青年の口元は、にんまりと弧を描く。

 当然のことながら、うつむく男は知る由もなかった。


「という訳で」

「なにがだよ」

「そのサンドバッグ、どうしたの? なんかえらく……」


 アサシンが妙な顔をしている。

 それもそのはず、今宵のサンドバッグは彼であって彼でない。

 何もかも諦めた目で、こちらを見ている彼は。


「パラレルサンドバッグです」

「パラレル……っていうと、まさか」

「なに、パラソルワールドだと?」

「そのネタ分かる人いねーから」

「そう。このサンドバッグは、だいぶ段階が進んだサンドバッグなのだ」


 何の段階が進んでいるのか。

 アサシン以下四名は察して、何とも言えない表情になる。

 その同情に満ちた目八つ分を受け取って、サンドバッグは深ーくため息を吐いた。


「いいよな、オリジナルは」

「可哀想」


 ぽつりとつぶやいた魔法使いの言葉に、サンドバッグは即時反応した。


「いや、だいたいあんたのせいだから」

「魔法使いさんを傷付けたのはおまえだから、総合的におまえのせいだな」

「……そ、そんなこと認められっか!」


 だいぶ自棄になっているようだ。

 ところで、このサンドバッグ、バインドシールがかけられていなかった。

 それはつまり、移動が許されている、ということで。


「逃げないね」

「逃げ出してもどうせ……捕まりますしおすし」

「誰に?」


 サンドバッグは目を逸らした。

 そんなサンドバッグを同情する訳もなく、斧戦士は無情にもスペルを唱えた。


「サモンドリーマー」

「ドリーマー……夢の……人……ッ!?」


 ダッシュで逃げ去るサンドバッグ。

 本気の走りは、みるみる姿を隠す。

 だが、斧戦士のスペルに応えて現れた二人は不敵だった。

 笑みを浮かべると、その場からそっと消え失せる。

 しばらくして、サンドバッグの悲鳴が響き渡った。






斧「オリジナルはさすがに可哀想かと思って」

舟「パラレルなら耐性が付いてていいってことかよ。可哀想だな」

魔「夢の国の住民は恐ろしいのう」

ア「魔法使いちゃん、それだと某有名なネズミさんなんだけど」

剣「正確には、夢の世界の住民だな。たいして意味変わらねーけど」

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