M-347 ギロチンアックス
ギロチンアックス
即死効果付き
『おまえ、ギロチンの刑に処すぞ』
『えー、ギロチンだけは勘弁してください』
『だったら、キリキリ働け』
『分かりましたよ……それ、誰宛てなんですか?』
こいつは、そんなに物覚えの悪い部下だったろうか?
このおれが贈り物をする相手など、一人しかいないのに。
ちゃんと教えておかないといけないな。
――魔法使いさんに決まってるだろ。
口にしようとしたとき、夢はぷつんと終わる。
ああ、なんて懐かしい顔。
おれより早く死んだ、数少ない味方。
死んだ理由が、自分にあるのは苦々しい思い出だ。
青年は起き上がり、周囲を見渡した。
「アレのせいか……」
原因はすぐに分かった。
前話……げふんげふん、つい最近使ったギガントエッジだ。
魔法で再現された巨大な刃物は、昔使っていたものとよく似ている。
当然だ。
似せるために魔法を作ってもらったのだから。
最愛の人、魔法使いに。
「……ふむ」
青年は、ギガントエッジを見る。
前回、このやいばではあいつを斬らなかった。
ギガントエッジはてらてらと光っている。
新品同様だ。
「やはり、これであれを殺すのはもったいないか」
片手用ギロチンは手に取らない。
その代わり、装備したのは……。
斧「ちわーす、処刑屋でーす」
?「はいはい。はんこは要りますか? って今日斧かよ。邪魔じゃね?」
斧「ギロチンは貴族の人用だからね。おまえは庶民」
?「うん? 確かにオレは、生まれてこのかたずっと庶民ですけど」
斧「そうですか。はい、処刑あげるよ、えいや!」
?「いった! おい、それ、ただの通常攻撃だろ!」




