M-343 ショートスピア
ショートスピア
同名の武器とは関係ありません
「ブラックランスのミニミニ版」
「ほう」
魔法使いから説明を受けた斧戦士は、一言うなった。
見ているのは、魔法陣。
この戦士、実に魔法に関心がある、奇妙な戦士である。
その一方で、野蛮に斧を振り回したりもするので、なんだかよく分からない。
「ちょっとやってみて」
「うーん、的がいるかな」
体の良い的役と言えば、もちろんサンドバッグ。
砂袋のほうではなく、人型のサンドバッグだ。
このサンドバッグ、恐ろしいことにしゃべったり、動いたりする。
ついでに死んでも生き返る呪い付きだ。
「はい、召喚」
「……素直に人間のサンドバッグって言えば良くね?」
「おまえ、自分が人間だと思っているのか?」
「えっ。まあ、それなりに……?」
「[ピー]歳のくせして、人間だとか。笑わせるわ」
「逆に何だったら良い訳?」
「ゴミ」
「……」
真剣に向けられた、憎しみ。
サンドバッグはしばし、押し黙った。
「さて、的はできた。さっそくやってみよう」
「ショートスピアだよ、斧戦士さん」
「ちょっと待って。何? その弱そうな武器名」
「これから見せてやるよ。ショートスピア」
斧戦士がそういうと、針のように細い円錐が現れた。
しかし当然ながら、一本ではたいしたダメージにならない。
サンドバッグは鼻で笑った。
「弱そうな名前にふさわしく、弱いじゃん」
「……ショートスピア」
斧戦士は詠唱に少し時間をかけた。
展開されたのは、数千を超える針の壁。
それらはすべて、ドヤ顔のサンドバッグに突き刺さった。
斧「いいね」
魔「今回は斧戦士さんだけが使える設定にしたよ」
斧「ふむ? なんで?」
魔「ブラックランスは斧戦士さんしか使えないでしょ?」
斧「確かに。似ているものが作れても、性質は違うだろうからな」




