M-035 ロックオン
ロックオン
命中率アップ
「この的、さっきから回避率高くない!?」
「全然当たんない……」
「くっ、ノーコンの女王すらも押されているというのか!」
「ノーコン女子になに期待してんの!」
三人がいるのは射的台。アサシン、舟長、魔法使いは二等の景品を狙って、20分以上粘っていた。
が、一向に当たらない。
「斧戦士呼んでくるべきだったかな……」
「命中率55%アップの力を見せつけなきゃ」
「バカ、今から呼びにいってもおせーよ!あと一個しかないんだぞ。誰かにとられたらどうする」
舟長はそういうけれど、金塊一つにこんなに拘っているのは、二人にとってかなり恥ずかしく……。
「金塊なんてモンスターから採ればいいでしょ!」
「そうだよ、新エリアの右下のほうに行けば、たくさんとは言わないけどいるじゃない」
「あいつ滅多に落とさないし盗めねーじゃん」
「それはどのモンスターも一緒じゃんかー!」
こうして説得に回っているのだが、いまだ成功していない。それほどに舟長の守銭奴は恐ろしいのだ。テコを持ってきても無効なぐらい恐ろしい。
「ああ、ボクの命中率がもう少し高ければ、当たりそうなのに……」
「だいたい舟長が当てればいいのに。そんなに固執してるならさ」
「魔法でワンパンだと思ったら魔法はダメって言うんだから仕方ねーだろ」
オレだってそんなに命中率高くねーし。とぼやく舟長。
彼とていつまでもこの店で粘っていたいとは思っていない。できれば早く金塊を手に入れて、他の屋台を巡りたい。
このあとは荷物係だろうが、出費係だろうが、なんでもやってやろうという気概だった。だから、だからこそここであの金塊を取っておきたいのだ。誰かが達成するよりも早く。
「頑張れ、アサシン!」
「ああもう、気が散るから話しかけないで!」
「ゴメンナサイ」
「だったら、もうやるしかない。ロックオン!」
「魔法使い!?」
アサシンにロックオンの魔法がかかる。命中率がぐーんと上がった。
これで一撃必殺系も楽々通るぞ。
殺れ、アサシン!
「アサシンレイズっ」
魔「お菓子の入った金ぴかの箱が当たりました」
舟「…………」
剣「放心している」
ア「あっでもこの箱、ゴムの木で出来てるみたい! レア素材だよ!」
舟「!?」
斧「息を吹き返したようだ」




