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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
本編(Mシリーズ+Aシリーズ)
351/527

M-327 ウォーターマジック2


ウォーターマジック2

幻覚使いに幻覚で挑むのは無謀か否か




 斧戦士に背を向け、アサシンは壺のなかを覗き込む。

 なかは真っ暗だ。

 そのことを不審に思っていると、声が聞こえた。


「魔に魅入られし者よ……」

「なにそれ。中二病?」


 けなされたことに気付いたのか、声は止まる。

 しかし、次の瞬間、アサシンは壺のなかに落ちていた。

 持ち前の身体能力を遺憾なく発揮して、アサシンは静かに着地する。


「やけに明るい場所だね。一応、壺のなかだから?」


 真上を見上げると、眩いばかりの光が見えた。

 壺の入り口だ。

 さっき覗き込んだときの暗さはどこに行ったのか。

 そう思って辺りを見回すと。

 真っ黒な壁があった。

 しかも、壁が急に割れたかと思うと、赤い目玉が飛び出したから驚きだ。


「うわー悪趣味だねえ」


 アサシンはそう呟き、そっと壁から離れた。

 そのときだ。

 女性の悲鳴が聞こえたのは。

 魔法使いかもしれない。

 アサシンはある一種の確信をもって、声のもとへ向かった。


「はあ、はあ、もう来ない……?」

「魔法使いちゃん!」

「あ、アサシンちゃん……じゃない! うわーん!!」


 声の主は、まさしく魔法使いであった。

 しかし、彼女はアサシンが近づくと、顔を背けて反対方向へ走り出す。

 涙にぬれた表情、ふらふらの身体。

 いったいここで何が……そう思ったアサシンは気が付いた。

 自身をまとう、慣れ親しんだ気配に。


(そうか、これは幻覚……。魔法使いちゃんは幻覚のなかに居るんだ!)


 アサシンは、腹をくくった。

 どうせ、誰も見てやしない。

 ボクが真の力を発揮したって……構わないはずだ!


「リアルイリュージョン」


 そうだ。

 ボクのこの力で、魔法使いちゃんにかかっている幻術を支配してやる。

 アサシンの力がにじむ。

 やがて、半球状に張られたアサシンの幻術は、ここの本当の姿を映し出す。

 黒い、不気味な壁は消え去って、垂直の白い壁が現れる。

 外で見た壺の見た目とそっくりだ。


「こんなチンケな術で、ボクたちを縛ろうなんて……思い上がらないでほしいね」


 アサシンは、どこかにいる幻覚の術者に向かって言い捨てた。

 この様子だと、魔法使いが逃げた方向すら、正しくない可能性がある。

 悪趣味な壁を睨みつけながら、アサシンは歩き始めた。






ア「まったく……。術者がいたらワンパンで沈めてやるのに」

ア「魔法使いちゃん、すごく怯えてた。何を見たんだろう……」

ア「ううん、そこは斧戦士に任せよう。ボクは、早く魔法使いちゃんを見つけなきゃ」

ア「よし、この壺のなかの幻覚をすべて、ボクの術で上書きする」

ア「ひろがれ、リアルイリュージョン! すべての幻覚はボクに従え!」

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