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ここは、魔導研究所  作者: 紅藤
本編(Mシリーズ+Aシリーズ)
35/527

M-033 コースアロー


コースアロー

歩行者のウィンカー




「ブルームコメットで散歩中にさあ、危うく歩いてる人とぶつかるとこだったよ」


 説明しよう。ブルームコメットとは、空飛ぶ箒である。推進力は謎。

 説明みじかっ!


「危うくってことはなんとかなったんでしょ?良かったじゃない」

「咄嗟に向きを変えたからぶつからずにすんだけど、これって車だったら事故るよね?」

「魔法使いおまえなぁ……世界観を考えろよ」

「馬車ってことにすればいいねん!」

「馬車って急に曲がるの?」

「さあ……」


 急ハンドルは事故のもと。

 力強く言いきった魔法使いに対し、アサシンと剣士はなんとなく不安気である。

 馬車なんて乗らないから。うちは飛行船だからってことですね、分かります。


「そこで思い付いたんですが、歩行者にも合図があればいいんじゃないかって。どっち方向に行くのか分かれば、歩行者同士でも避け合いが捗るよ!」

「で、どんな魔法を作ったんだ?」


 舟長の先読み攻撃だ!

 魔法使いに痛恨のダメージ!! いてぇ!


「そーゆー出鼻を挫くようなことは避けていただきたいんですが……」

「そーゆーとかキモいから止めろ」

「魔法を撃たれたくなくば謝るんだな」


 魔法使いが口調を変えて、舟長に杖を突き付ける。舟長はわずかに迷ったあと、自分の発言を大事にした。すなわち。


「なんで正しいことを撤回せねばならんのだ」

「エナジーフォース」

「舟長ー!!」


 舟長は死んだ。


「ふー、すっきりした。じゃあ魔法のお披露目しようか」

「独裁政治じゃん」

「舟長の言い方がムカついたのでつい」

「うっかり屋な魔法使いさんかわいーい」

「斧戦士、キモいよそれ」


 死者が増えた。


「リバイブ、リバイブ。ほい、お帰り」

「はぁ、解せぬ」

「うかつなことは言うもんじゃないね」


 生き返った二人は真逆の反応を見せた。再び杖を突き付けられる舟長。今度は彼も逆らわなかった。両手を振って誤魔化すと、魔法使いはふっと笑って構えを解いた。余裕の笑みである。


「なんで笑ったんだ? アイツ」

「それはたぶん……強者の微笑み?」

「何か思い出したんじゃね。ほら、思い出し笑いでさ」

「納得いかん……」


 納得いかない舟長はおいといて、さあ魔法のお披露目をしよう。


「コースアロー!」


 魔法使いが術を唱えると、彼女の正面に矢印が三つ浮き上がった。

 右、左、まっすぐの三つで、後ろを差す矢印はない。


「右に行くよ」


 魔法使いが右に曲がろうと体を傾けると、右の矢印がポップアップして大きくなった。

 左に身を翻すと左が大きくなる。


「どーだね。我が魔法は」

「これじゃぶつからねーか?」

「傾けてからじゃ遅い気がするの」

「ふふん。一応手動でも押せるのじゃ」


 威張る魔法使い。

 アサシンと舟長は顔を見合わせた。確かにこれはウィンカーだ。まっすぐも分かる。だが、使い勝手はいまいちかもしれないと。


「あと、事前に別の魔法でデータを作っておけば、矢印で案内してくれる」

「そっちが本命だろ!」

「そっちが本命でしょ!」

「違うよ、これはおまけ。だいたい他の魔法の力を借りるなんて外道だよ」

「外道!?」

「事前に用意しなきゃいけないのも面倒だし」


 魔法使いの美学にも色々あるらしい。






魔「最終的には、目的地を入れるだけで案内してくれるようにしたい」

舟「それなんてGマップ?」

魔「あれ……わたしウィンカー作ろうとしてたのに、何故マップの方に?」

ア「キャラ崩壊の危機だったんだけど」

舟「不思議なこともあるもんだな」

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