M-319 メッセージレター
メッセージレター
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「おや? これは?」
魔法の勉強が終わって、階下に降りて来た魔法使い。
彼女は、机のうえにあった自分宛の手紙を見て、目を輝かせた。
その字は彼女がよく知る人物のものだったからだ。
「斧戦士さんから? なんだろ」
魔法使いは手紙を掴むと、自分の部屋にリターン。
一人でこっそり手紙を開くと、意外なことに便箋は真っ白だった。
困惑して、手紙をたたもうとしたそのとき。
手紙全体が光ると、真っ白だったはずの紙の上に文字が浮き出ているではないか。
―魔法使いさん、驚いた?―
普通の人ならば怪しむところだが、魔法使いは違った。
その紙の先にいるだろう人物を思い浮かべて、言葉を返した。
「驚いたよ、すっごく。これ、なあに?」
『魔法だよ。一か月ぐらいかかったけど、うまく行ってるかな』
「完璧! ねえ、いまどこにいるの?」
『ありがとう。おれ? おれはいま……民家の屋根の上だよ』
「人んちの?」
『そう。ちょっと脅かしてやっただけなのに、大騒ぎされてね。そろそろ帰れると思う』
「待ってるね」
『うん。ワープで帰る』
魔法使いが再び真っ白になった手紙をたたむ。
それをどこにしまおうか、考えているうちに階下で音がした。
たぶん、玄関だ。
斧戦士が帰ってきたのだろう。
魔法使いは机のうえに、手紙を置いて彼を迎えに行った。
斧「ただいまー」
魔「おかえりー!」
斧「手紙はちゃんとしまった?」
魔「ううん、机のうえ!」
斧「……ログが見れる機能はオフにしておいて良かった」




