M-316 サプライズ
サプライズ
遠距離恋愛にもぴったり
とんてんかんとん。
とんてんかんとん。
作業室から音がする。
夜中に目が覚めた舟長は、音の正体を探りに行く。
最近、作業室を使っている奴と言えば、魔法使いぐらいしか思いつかないが。
しかし、彼女はこんな真夜中に行動するような人間ではない。
実際、さっき通った廊下で、魔法使いの寝息を聞いている。
では、誰が……?
不安が入り混じるなか、舟長は作業室の扉を開けた。
「ありゃ、斧戦士?」
「ん、舟長か。こんな真夜中にどうした?」
「いや、それはこっちのセリフなんだが。作ってるのはアクセサリーか。魔法使い用かよ?」
「いいや。ケイト・ノーマンに渡す」
意外な名前が登場し、舟長は困惑した。
ケイト・ノーマンは、魔法使いたちが通う学園の生徒である。
詳しくは『スカイアドベンチャーの楽しい学園生活』を見て欲しいが、斧戦士とトラブルがあり、仲はあまりよろしくない。
「は? なんでおまえが?」
「正確に言うと、魔法使いさんがケイト・ノーマンに渡したいんだ」
「それ、おまえが作る必要ある?」
「なぜ? 魔法使いさんがそうしたいなら、最大限手伝うべきだろう?」
「おまえ、ケイトのこと、嫌いなんじゃなかったのか?」
「ああ。殺したいほど憎いが、それとこれは別の話じゃないか」
「あのなあ。普通の奴なら、多少遠慮するとこだぜ」
舟長は、たぶん伝わっていない相手の顔を見た。
きょとんとしていて、さっぱり分かっていないようだ。
「ってか、いま長期休みだろ。どうやって渡すんだよ?」
「そこは、魔法使いさんが考えてあるらしい」
魔「スカイアドベンチャーの魔法使いより、っと。よし、これで封をして……」
舟「その手紙に、サプライズって魔法がかけられてるのか?」
ア「手紙を開くと、魔法使いちゃんのホログラムとともに、メッセージが展開されるんだね」
剣「言葉を聞き終わると、プレゼントの箱が実体化するのか……」
斧「ディスペルで、メッセージ部分をスキップすることも可」




