M-312 おわんアタック
おわんアタック
丸いものがそれしか思いつかなかった
「ねえねえ、そのグサグサ刺すの、やめてくれません?」
「楽しいよ」
「おまえは楽しいだろうけど! 刺されてるオレは楽しくないの!」
おまえらのリーダーと違って、被虐趣味じゃないからね。
サンドバックがそう言うので、斧戦士は考えた。
いつも刺すんじゃ、変化が足らなくてつまらない、ってことか。
納得した斧戦士は、早速解決してくれそうな人物のもとに向かった。
彼、最愛のひと、魔法使いだ。
「という訳で、なにか槍先をカバーするものが欲しい」
「サンドバックさんは、ドMなの?」
「あいつにさんは要らない」
「サンドバックはドMなの?」
「たぶん」
誤解が生まれた瞬間である。
みなさんは、憶測でしゃべるのはなるべくやめましょう。
「じゃあ、SM向けの魔法にすればいいのね」
「なにか恐ろしい魔法が生まれた気がする」
「そんなサンドバックさ……サンドバックには、これを差し上げよう!」
魔法使いはやけにキラキラした目でそう言うと、いつものように杖を掲げた。
いや、違う。
よく見ると、杖の先に丸いガードがついている。
「おわんアタックだ!」
斧「えい、えい、どうだ、食らえー!」
?「幼児退行!? って……ありゃ、あんまり痛くない。刺さってる感じもないし」
斧「痛みを最小限にすることで、痛みを感じる時間を長くするという作戦だ」
?「地味に嫌な作戦だな!? オレ、そういう趣味ないからね?」
斧「またまたー、ご冗談を」
?「マジでやめてください、オレはノーマルなんです!」




