A17-306 マインドリバース(邪)
マインドリバース(邪)
いつもはクール気取ってる彼もまた
前回、アサシンと舟長にマインドリバースをかけられ、効果時間終了後に二人を斬り殺した斧戦士は、足早にある場所に向かっていた。
正直、効くかどうかは分からない。
相手も、自身と同じかやや弱いぐらいの精神力の持ち主だ。
何の効果もない可能性もあった。
しかし、斧戦士は歩みを止めなかった。
「ありゃ? そんなに急いで、どったの?」
「おお、起きているなら都合がいい」
「げ、またなんかの実験台? 勘弁してくれよ、オレはそっちのリーダーと違ってMじゃねーんだし」
舟長が聞いたら、憤慨しそうなセリフを吐いて、サンドバッグは余裕のため息を漏らした。
これから何が起ころうとしているか、知りもしないでこの態度。
斧戦士はわずかに口を歪めた。
おもしろい光景が見られそうだった。
「マインドリバース」
「マインドがリバース……、あーね、巷の性格転換ってヤツ?」
「……」
「ダメダメ、オレそういうの効かないから」
「……」
「なにせ、オレは天才だからね!」
ふんす、と威張ったサンドバッグ。
間違いない、術中にはまっている。
普段自慢なんてしないで、終始けだるげな態度のサンドバッグが、威張っている。
斧戦士は気の毒そうに、見つめた。
可哀想に。
自分がかけた術の効果とはいえ、奴の黒歴史を掘り起こした気分だった。
「ああ、うん、悪かったな」
「おい、ちょっと待て。オレに何を言わせやがった訳?」
「記憶ないの?」
「あるよ。あるけど、ずいぶん短かかったような。あっ」
何か思い出したらしい。
そっと隅によって、膝を抱えだすサンドバッグ。
もしかして、と斧戦士は思った。
ああいうキャラが憧れだったのかなあ。
斧「昔の性格が反転したのかな?」
?「何故こんな羞恥プレイを受けなければならないのか。最近、多くね?」
斧「ネタがないんじゃない?」
?「オレの精神状態も少しは顧みて!」
斧「だんだんキャラが崩壊しつつあるなー」




