M-298 ダウンホール
ダウンホール
下に参ります
「落とし穴作ったった!」
元気に舟長の前に立ちはだかったのは、魔法使い。
廊下を塞がれて、面倒そうな舟長は、面倒そうに顔をしかめた。
「ほう。それで」
「ちょっとハマってみてくれる?」
「わざと?」
「うん」
魔法使いは素直に頷いた。
わざとでもいいなら……と、舟長は魔法使いについて歩く。
玄関を出て、家のまえの草原にやってきた二人。
なんだかあからさまに、草がはがれたところがある。
しかも、円形に。
「これか」
「あ、そこから歩いてきて」
「スタート地点だったのか」
「ゆっくり歩いてきてね!」
遠くから何か叫んでいる魔法使い。
舟長はゆっくり歩き出した。
「ダウンホール!」
半ばに差し掛かったとき、地面が揺れた。
来たか、と舟長が歩みを止めると、徐々に地面が沈んでいく。
舟長は黙って、段差を乗り越えた。
魔「ちょ、ダメだよ! そこにいて!」
舟「こんなのんびり降りてくるの、待ってられるか!」
ア「落とし穴かあ。網を張る必要はないの?」
斧「だいたい、壁を蹴って脱出できるタイプの人間には、落とし穴は効かない」
剣「そもそも落ちないだろうし」




